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合格者が伝える択一式・記述式解法

2008年10月17日 (金)

最終回 択一式・記述式解法<本試験チューニング編>

みなさんこんにちは。

1週間後には、いよいよ最後の公開模試が実施されます。そして、公開模試の2週間後には行政書士本試験が実施されます。今回は、この最後の公開模試終了後から本試験までの過ごし方(本試験チューニング)についてお話していこうと思います。

行政書士試験は1年に1度のチャンスしかなく、しかもその1日に1年間の全てを出し切ることが求められます。せっかく1年間頑張ってきたのにこの日に限って調子が出なかったというのでは悲しいです。ですから、本試験(2008119日)にピークを持っていくということは非常に重要になってきます。この時期は、学習以外のことも軽視してはいけません。例えば、睡眠時間、起床時間、朝食、服装等、気を使って使いすぎるということはないのです。

それでは、本題に入っていきましょう。

u       今日からは1週間のピークを日曜日に持っていく

   

   本試験が日曜日に実施されるため、日曜日に向かって1週間がむしゃらに勉強していくというイメージです。この1週間で、できれば行政書士試験の全科目を見渡せるようにしてください。そして、日曜日は13時から16時に本試験同様の60問形式の問題をやるようにしましょう。素材としては、公開模試でも、過去の本試験問題でも何でも良いです。とにかく、本試験の日と同じ行動をするように心がけてほしいのです。これを繰り返すことで、1週間で日曜日の13時から16時が一番力を発揮できる本試験チューニングが完成されていきます。特にお仕事をされている方は、なかなか1週間で行政書士の科目全部を見渡すことはできないと思いますが、日曜日に向かってピークを持っていくという気持ちだけは忘れないでください。

u       最後の1週間

   

   最後の1週間の過ごし方はとても重要になってきます。ここで最後に本試験用チューニングをしっかりしていきましょう。最後の1週間、私は単年度版の過去問を解いていました。私が合格した年は平成19年度なので、本試験前日の土曜日が前年の平成18年度、金曜日が平成17年度というように、毎日1年分ずつ本試験と同じ時間の3時間で解いていました(理想は本試験と同様の13時から16時ですが、お仕事をされている方は20時から23時とかでも大丈夫です。私も本試験の前日まで働いていたので夜中に時間を計って解いていましたから大丈夫です!)公開模試や答練の問題もよく考えられて作成されていますが、過去問には敵いません。そして、皆さんが実際に解く問題も試験委員の作成した問題なのですから、過去問に毎日馴染んでおくことで違和感なく本試験に取り組めるようになるはずです。

u       基本と応用のバランス

   

   この時期どうしても細かいことをやりたくなります。知識が相当詰め込まれ、基本はいいよと考えてしまいがちです。ですが、この発想は逆です。本試験が近くなればなるほど基本を徹底しなければなりません。かつて、私も直前期に細かい勉強ばかりして本試験の基本的な問題に手こずったことがあります。本試験では、60パーセントが基本問題で残りの40パーセントがやや細かい知識、マニアックな知識等で構成されています。ですから、出るかどうかすら分からない細かい知識はほどほどにして、基本をパーフェクトにする!その基本知識だったらどんな角度から問われようが、どんな形式で問われようが確実に得点できるという状態を目指しましょう。もちろん、応用知識も詰め込むべきところはあるので、バランス感覚をもって(基本7:応用3)勉強していきましょう。

clip基本でも完全に分かりきっているところは飛ばして構いません。基本分野で曖昧なところを残さないでほしいという意味で捉えてください。

u       絞込みと繰り返し・鮮明な記憶

  

   繰り返しの勉強ほど辛いものはありません。しかし、この時期だけは我慢してください。この時期に手を広げたらもう最悪です。勇気をもってやるべきことを絞り込んで、鮮やかな知識をもって本試験会場に乗り込みましょう。では、なぜ鮮やかな知識にこだわるのかについて少しお話しておきます。本試験の問題は本当に巧みに作成されており、一定の勉強をされており、合格の土俵に上っている人なら2択程度に絞るところまでは容易にできるように作られています。しかし、残った2肢の判断が微妙なのです。どちらも正しそうに見えるのです。ここで、時間を浪費させる又は間違えさせるというのが敵の思惑でしょうが、鮮明な知識をもっていればここで悩まされることはないのです。より豊富な知識をもっているに越したことはありませんが、この知識の質が悪ければ本試験では使い物になりません。

 

u       合格への執念!

  

   例え答練や模試で思うような成績をとれなくても、最後まで希望を捨ててはいけません。あきらめたらそこで試合終了なのです!どんなに辛くても、心が折れそうになっても、最後まで頑張りましょう。本当に辛いときに自分を救えるのは努力してきたという事実だけです。マラソンの野口みずきさんも言っていました「努力だけは裏切らない」、誰よりも合格したいと強く思い、誰よりも努力する、試験終了と同時に倒れたっていい、そのぐらいやってみましょう。今努力してない人が実務家になって努力できるわけがないです。今苦しい思いをしていない人が依頼人の気持ちを知ることなんてできないです。残り3週間精一杯悔いの残らないように頑張りましょう!!!

 ~最後に~

今までこのコラムを読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

毎回毎回偉そうなことばかり言ってきましたが、これもみなさんに合格してほしいと願えばこそのことですので、どうかご容赦ください。これでなんとか択一・記述解法の技術について一通りお伝えすることができました。平成19年度合格者としての責任は果たせたのかなと、一応は思っています。今、私はみなさんにバトンを繋ぎました。今度はみなさんが合格して次の受験生へバトンを繋いでいってほしいと思います。みなさんが今年の合格を果たされるよう心よりお祈り申し上げます。

pen伊藤塾行政書士試験科 スタッフ ミナより

2008年9月26日 (金)

第9回 択一式・記述式解法<公開模試活用編>

みなさんこんにちは。

あと2週間で公開模試が始まります。今までの1時間で行う答練とは異なり、本試験同様の3時間という制約の中でシミュレーションをしていくことになります。このシミュレーションという作業は非常に大切です。

 公開模試を単なる練習と甘く見ていると、本試験で予期せぬ事態が起こった場合に対処することができません。人間は、所詮練習でやってきたことだけしか発揮できないものです。したがって、練習で自分を甘やかした人は本試験でも自分を甘やかすことになってしまいかねません。公開模試は全部で2回(インターネット模試を入れると全部で3回)ありますが、1回1回が本試験だと思って臨むようにしてください。

 それでは、本題に入っていきましょう。

 公開模試では解法(今までの集大成)に加えて、次のような準備もするように心がけてください。

 

u       Aランクの知識を正確に判断できたか 

 公開模試は、本試験同様の難易度の高い問題が含まれています。そういった、合否に影響しない問題で時間を浪費していないか、またAランクレベルの問題を正確に判断できずに時間を浪費していないかなどのチェックを行ってください。ここら辺は本当に短期合格できるか、来年に合格を持ち越してしまうのかという分水嶺になってきますから、十分気をつけるようにしましょう。

 

<復習のポイント> 

合格点180点に足りない分の得点を計算してみて、間違えてしまったAランクの問題を全て正解していたら、180点に到達していたという場合は、余計なことを考えずAランクの問題だけを復習しましょう。

本試験が近づいてくると、真面目な受験生ほどBランク、Cランクの難しい知識を吸収しようとしている傾向にあります。そして、合格して、Aランクの知識だけで十分合格できるということにと気づくのです。1発合格者と呼ばれる人たちは、元々頭のできの良い人もいるかもしれませんが、やはりこの点に早く気づいて、徹底している人が多いです。

u       時間の使い方を把握する 

 みなさんは、携帯式の時計などで時間を計って模試の受験に臨むでしょうが、より細かいラップタイムを計ってみたことはありますか?択一の得意な人は、ストップウォッチで科目ごとのラップタイムを計測している人もいます。さらに、記述式に何分、文章理解に何分とか分野別に計測している人もいます。大まかに、択一法令1時間30分、記述式30分、一般知識等1時間とするのでも良いですが、基礎法学5分、行政法20分、憲法20分、民法20分、商法10分、多肢選択式15分、記述式30分、政治・経済・社会15分、情報系15分、文章理解30分と具体的に計測するのが理想です(具体的時間配分は御自分で判断してください、ここに列挙したものは一例にすぎません)。

 前回、危機管理対策を考えておくべきですという話をさせていただいたのを覚えているでしょうか?ある程度自分の普段の問題を解いているスピードを把握しておかないと、実際に本試験で時間の誤差が生じたときに何も気づかずに3時間を過ごしてしまうということになりかねません。例えば、普段行政法を20分で解いているのに、緊張して、30分かかってしまったとします。この場合、今までより10分タイムロスをしているので、他の科目で、10分を削っていく作業が必要になります。また、予定では民法20分で解くはずだったのに、10分で解けてしまったとします。この場合、何か重大なミスをしている可能性があったりします。

 このように、普段の自分を把握しておくことによって、本試験でもいつものリズムで淡々と問題に取り組めるようになると思います。

★お知らせ★

志水講師による2008年行政書士試験突破!必勝講義~合格のために、今何を考え何を実行すべきか~」というオープンスクールは受講生の方でしたら無料で見ることができるので、是非参考にしてください。

★次回予告★

次回の択一・記述式解法は<本試験チューニング編>です。

本試験に向けて自分をチューニングする方法についてお伝えしたいと思っています。

2008年9月 5日 (金)

第8回 択一・記述式解法<答練活用編>

みなさんこんにちは。

先日、伊藤真塾長に「できるだけたくさんの塾生さんに頑張れ」と声をかけていきたいという今の私の夢について話しました。今必死になって頑張っているみなさんに「頑張れ」と応援するためには自分自身が受験生のみなさん以上に必死でなければ、その思いは伝わらない。私も一生懸命頑張ります。本試験まで残すところ65日、一緒に頑張りましょう!!!

それでは今回のテーマにいきましょう。いよいよ96日から実力完成答練が始まります。みなさんは当然答練を受け終わった後、知識面の補強を行います。これについては言われなくても誰だってやるのですが、技術面の確認をやっている人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで今回は解法を身につけた後の答練の受け方について考えてみたいと思います。

 

u        解法の確認・ケアレスミスの有無の確認

   今までこのコラムを見て過去問を解く際に試行錯誤しながら、どうすれば基礎講義で身に付けた知識を得点に結び付けられるのかを必死になって実践してくださったみなさんはこの実力完成答練でも解法を活かすことができているのか確認してください。

   本試験では、反射的に解法を使って問題を解けるようでなければならず、どうやって解くのかいちいち思い出さなければならないようでは時間の無駄です。本試験の時には問題の内容を考えることだけに集中しなければならないのですから答練の際に解法を意識するようにしてください。

   1回でも述べましたが、ケアレスミスをしているうちは合格できません。答練ではこういった点も徹底してほしいと思います。仮にケアレスミスで1問落としたら本気で反省してください。

u        択一の得意な人と答えあわせをしてみる

   なかなか勇気を出せないかもしれませんが、もし友達に択一で高得点を叩き出している人がいたら、その人の答案を見せてもらうのもいい勉強になります。私も初めは恥ずかしかったですが、択一の得意な人にどういう思考を辿って問題を解いているのか聞き始めてから得点力がパワーアップしたという経験があります。

u        これからは危機管理の方法論のストックをしていく

   本試験では、今まで考えたこともない問題が必ず出題されます。そのようなときにどうやって自分を平常心に戻すのかを考えてほしいと思います。とても恥ずかしい話ですが、私が行政書士初受験のとき(平成18年)、記述式をボールペンで書いてしまいました(本当は鉛筆で書かなければならない)。残り10分足らずで試験官にそのことを告げると、もう一度書き直すようにいわれ、択一全問のマークのやりなおし及び記述式3問120字分の書き直しを余儀なくされました。その結果、2点足りずに不合格となってしまいました。あの時パニックになったときの処理法を考えておけば1年を棒に振らずに済んだわけですから、みなさんはそのようなことが起こらないように危機管理マニュアルをストックしておいてください。私の周りの友人の中にはトイレに行って顔を洗って冷静になるとか、30秒間瞑想して自分を取り戻すとか様々な方法を実践している人がいました。ちなみに、私はトイレ派でした。

   答練ではクラスの知っている人以外は受験しないでしょうが、なるべく悪条件を選んで受験するようにしてください。例えば、人の出入りで集中しにくいドア付近や、うるさい人の隣に座るとよいでしょう。

u        解く問題の優先順位(推論、個数問題は後回し、未知の問題はパスする等)

   真面目に第1問から解く必要はありません。ご自分の得意科目から解くとか、簡単そうな問題から解くとか工夫してください。これまた私の苦い経験ですが、試験開始直後に解いた問題が今まで見たこともない問題で焦ってしまったために調子を崩したことがあります。試験開始直後はいくら自分は大丈夫だと思っていても緊張がほぐれていないので、なるべく自信をもって解答できる問題から解くようにするといいと思います。

u        時間内に自分は何問解けるか(ただし、問題すべてに目を通す。)

   初めて受験しようとする方は、おそらく時間内にすべての問題を解き終えることはできないでしょう。それでも、一応すべての問題に目を通すことだけは忘れないでください。20問の中には短時間で解答できるものと、時間をかけなければ解答できないものが混ざっています。それを見分ける練習としても答練の問題は適切なものです。在宅で受験される方も是非時間を計って受験するようにしてください。制限時間がないと実際の正答率と齟齬が生じる可能性があり、練習の意味が半減してしまいます。

★答練は失敗して反省するための場を提供するものだと私は思います。ただ解いて答えあわせをして復習するだけではもったいないと思うので、上記のようなことを課題にして1回1回を大切にしていけば本試験直前に飛躍的に実力が伸びているはずです。自分を信じて頑張りましょう!

2008年8月15日 (金)

第7回 択一式解法<会話形式・組合せ型>

みなさんこんにちは。

今日は新傾向の会話形式・組合せ問題についてです。新傾向とはいっても教授と学生の会話形式の問題は法律資格の試験であればよく出題されているので、まったく心配する必要はないです。ただ、慣れておく必要はあると思いますから本問ぐらいは解いておいてください。

○問題33 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、知り合いの法律家Cに相談を持ちかけた。次のア~オのAの質問のうち、Cが「はい、そのとおりです。」と答えるべきものの組合せは、1~5のどれか。

×ア   「私は、申込みの書面を発送した直後に気が変わり、今は別の車を買いたいと思っています。Bが承諾の意思表示をする前に申込みを撤回すれば、契約は成立しなかったということになるでしょうか。」

○イ   「Bには、『8月末日までにご返事をいただきたい』と申し入れていたのですが、Bの承諾の意思表示が私に到着したのは9月2日でした。消印を見るとBはそれを9月1日に発送したことがわかりました。そこで私は、これをBから新たな申込みがなされたものとみなして承諾したのですが、契約は成立したと考えてよいでしょうか。」

×ウ   「Bからは8月末を過ぎても何の通知もありませんでしたが、期間を過ぎた以上、契約は成立したと考えるべきでしょうか。実は最近もっとよい車を見つけたので、そちらを買いたいと思っているのですが。」

×エ   「Bは、『売ってもよいが、代金は車の引渡しと同時に一括して支払ってほしい』といってきました。Bが売るといった以上、契約は成立したのでしょうが、代金一括払いの契約が成立したということになるのでしょうか。実は私は分割払いを申し入れていたのですが。」

△オ   「Bの承諾の通知は8月28日に郵送されてきました。私の不在中に配偶者がそれを受け取り私のひきだしにしまい込みましたが、そのことを私に告げるのをうっかり忘れていましたので、私がその通知に気がついたのは9月20日になってからでした。私は、Bが車を売ってくれないものと思って落胆し、すでに別の車を購入してしまいました。もう、Bの車は要らないのですが、それでもBとの売買契約は成立したのでしょうか。」

1 ア・ウ

2 イ・エ

3 イ・オ

4 ウ・エ

5 エ・オ

u         本問は会話形式にはなっていますが、実質通常の正誤問題と変わりません。他資格の司法試験や司法書士試験では一つ一つの記述と問題が独立しておらず、教授と学生の一連の会話の中で本問のような問答がなされており、難問ではないけども、時間がかかるという意味でやっかいな問題といわれています。

u         組合せは第1回でも述べましたが、2つ、3つの肢が正確に分かれば答えを導くことができます。例えば、本問の正解は肢3なので、イ・エが導ければよいのです。最初に記述イを見て正しいと分かったら、あとはエとオのどちらが正しいかを見ればいいのです(表消去)。また、イ・オが分からなくてもア、ウ、エが誤っていると分かれば答えが導けます(裏消去)。このように、組合せ問題は解法さえ知っていれば正答率は相当高くなります。

u         本問は記述オが判例の知識を問うているためよく分からなかったので現場では△をつけました。しかし、ア~エは条文知識であり(行政書士試験としてはマイナーな条文ですが)、正誤の判断がつけられなければなりません。表消去と裏消去をうまく使いこなし正解を導くことは十分可能でした。

u         私は521条以下の契約の成立に関する問題が苦手だったので問題を読む前に時系列を意識するように以下のような図を余白に書いて問題の検討をしていました。

l          〈承諾期間の定めのある申込み〉

申込み→(撤回可)→到達→(撤回不可)→承諾期間経過→(失効)

l          〈承諾期間の定めのない申込み〉

申込み→(撤回可)→到達→(撤回不可)→承諾の通知を受けるのに相当期間経過→(撤回可)→撤回しうる時から相当期間経過→(失効)

もうすぐ実力完成答練が始まります。ぜひ、このコラムを参考にして合格への足がかりとしてください!

2008年7月25日 (金)

第6回 択一式解法<推論・学説型>

みなさんこんにちは。今回は、推論・学説問題の解法について考えてみたいと思います。

問題28 時効制度の存在理由については、次のような考え方の対立がある。

A説 「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合には真の権利者の権利を消滅させる制度である。」

B説 「時効とは、真に権利を有する者または真に義務を負わない者が、長期間の経過によってそのことを証明できないことにより不利益を被ることのないよう救済するための制度である。」

○ 時効の援用(民法145条)に関する次の説明のうち、最も妥当なものはどれか。

△1  時効の援用は、時効の効果が道徳に反する面があるため、それによる利益を受けるかどうかを当事者の良心にゆだねたものであるとの説明は、A説と矛盾する。

×2  時効の援用は、民事訴訟法上の弁論主義から求められるものであるとの説明は、B説と矛盾する。

×3  時効の援用は、はじめに遡って権利の得喪の効果を生じさせるものであるとの説明は、A説と矛盾する。

○4  時効の援用は、権利関係を証明するための法定証拠を提出する行為であるとの説明は、B説と矛盾しない。

×5  時効の援用は、法定の停止条件であるとの説明は、A説と矛盾する。

u         推論・学説問題の対処方法として、学説を丸暗記しようとする受験生が多いとも聞きます。しかし、この種の問題は、知識を聞いているのではなく、推理力・論理力・当てはめの能力を聞いているので、「なぜその論点が生じるのか」「学説の分かれ目はなにか」「その学説の帰結はなにか」をしっかり理解さえできていればなにも恐れるに足りません。また、このような問題は、根拠・批判等がはっきりしている学説の組合せを軸にして検討することによって、時間を稼ぎつつ、知らない学説の検討は後回しにするのがよいでしょう。もっとも、学説問題も、典型論点を素材に出題されることが多いので、典型論点に絞って勉強すれば足り、推論問題のために特に対策を施す必要はないと考えます。

u         本問を私が検討したときは肢1には△をつけました。しかし、肢2から5までは明らかに正誤判断ができるものだったので、本試験でこの問題に要した時間は1分です。実体法的なのか訴訟法的なのかという視点をもつだけで解ける問題です。仮に、同じ問題が次回出題されるとしたらもっと細かく実体法説のなかの停止条件説、解除条件説の比較を問われてもおかしくありません。

u         今回は単純正誤型で出題されましたが、次回は組合せで出題されるかもしれません。組合せ型で出題されるとすれば、やや細かめの知識も含んで出題されると思います。そういう場合は、確実に正解だと自信のもてる記述を起点として判断の微妙な記述を精査していくという姿勢が大切です。

スタッフ7号さんの連載する民法重要論点は、受験生が苦手意識をもちやすい論点の解説を鋭い切り口で解説しているので、推論・学説問題解法と一緒に閲覧していただくとより効果的だと思います。

2008年7月16日 (水)

第5回 択一式解法<空欄補充型>

 みなさんこんにちは。

 今回の解法は、空欄補充型の問題についてです。この手の問題は内容の難しさというより、形式で難易度を上げていくというタイプの問題です。

問題15 次の文章の空欄ア~キのうち空欄  と同じ言葉が入るものはいくつあるか。

行政不服審査法に基づき審査請求がなされたとき、処分の効力、処分の執行、手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置を行うか行わないかに関して、行政不服審査法34条1項は、行政事件訴訟法と同様、  原則を選択している私人の権利利益救済の観点からは  原則が望ましく公益を重視する観点からは  原則が望ましいといえる。行政不服審査法の下においては、処分庁の上級行政庁である審査庁は職権により  をすることができる。これに対して、処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、審査請求人の申立てにより  とすることができるのみであり、裁判所と同様、職権により  とすることはできない。これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して一般的指揮監督権を有するから、職権に基づく  も一般的指揮権の発動として正当化されるという認識による。なお、国税通則法105条1項のように、個別法において  原則に修正が加えられている場合もある。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

(参考)国税通則法105条1項「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となつた処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分(その例による処分を含む。以下この条において同じ。)による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人(不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方)から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。」

★ポイント★

他の択一をリズムよくこなして、より多くの時間を確保する。

u         穴埋めは、最初から順に入れていこうとしないで、わからなかったら先を読み進めます。そうすると、後ろの方にヒントが隠されていることも多いです。本問は参考として示された国税通則法に目を通すと大きなヒントになりました。私は、本試験現場で「わざわざ参考条文を載せているからには解答に絡んでくる」と考え、1分程度のロスタイムを覚悟して読みました。

u         行政法の空欄補充問題は択一の知識力と国語力で十分対応できます。日頃の択一対策で、似た概念や横断的に理解しなければならない点を重点的にこなすことがポイントです。例えば、行政不服審査法と行政事件訴訟法の「執行不停止制度」はどこが同じで、どこが異なるのか、行政事件訴訟法の原告適格が認められる場合と認められない場合等、文章として、「確かにAである。・・・しかし、Bである。」といった比較をさせるところが問題になりやすいのかなと思っています。これは、多肢選択式固有の勉強と位置づける必要はなく、上記の点を意識して、択一対策をしておけば十分と考えます。

第4回 多肢選択式解法

みなさんこんにちは。

今回は、多肢選択式(憲法)の解法について考えてみたいと思います。

問題41 次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄 に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

「公職選挙法の制定又はその改正により具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する  に不平等が存し、あるいはその後の  の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般に  性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の  的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。
 もつとも、制定又は改正の当時合憲であつた議員定数配分規定の下における選挙区間の議員一人当たりの選挙人数又は  (この両者はおおむね比例するものとみて妨げない。)の較差がその後の  の異動によつて拡大し、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つた場合には、そのことによつて直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される    内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反するものというべきである。

(最大判昭和60年7月17日民集39巻5号1100頁以下)

羈束

数量

地域

人事

権力

価値

人工

結果

票決

10

厳格

11

期間

12

効果

13

機関

14

囲繞

15

合理

16

関連

17

人口

18

明確

19

要件

20

秩序

ポイント★

他の択一をリズムよくこなして、より多くの時間を確保する。

u        穴埋めは、最初から順に入れていこうとしないで、わからなかったら先を読み進めます。そうすると、後ろの方にヒントが隠されていることも多いです。本問は、判例を覚えていれば簡単に答えることができますが、そうでなくとも文章と語句群を参考にすれば正解を導くことは十分可能です。イ~エは文章の最後の方まで読み進めると穴埋めが容易です。アはイ~エを埋めた後にもう一度文章を読み直すと「価値」しか入らないとわかります。

u        憲法の多肢選択式は重要判例がベースとなっているので、判例の学習をするときに、何がポイントなのか意識して読み込む癖をつけておけば、本試験での解答時間が短縮できます。

u        合格者の話を聞くと、憲法の多肢選択式についてはテキストに掲載されている判例から出題されているので(過去2年分に関して)、ほぼ瞬間的に答えを導いているひともいます。したがって、憲法に関しては、国語力でとくよりも事前の準備を頑張った人が報われるという印象が強いです。

解答 6価値(ア) 11期間(エ) 15合理(ウ) 17人口(イ) 

2008年5月23日 (金)

第3回 記述式解法

みなさんこんにちは。今回は、記述式の解法です。平成18年度の記述は良問でしたので、平成18年度の民法の問題を題材にして答案構成とは何かについて述べたいと思います。

★記述式解法★

u        答案構成をする 

   問題文を読んで、すぐに解答を頭で考え、解答用紙に書くと意外と意味不明な日本語になってしまい、採点者に伝わらないことがあります。採点する人が優しい人だとは思わない方がいいです。むしろ、相手に伝わらないものは評価の対象にならないと考えてください。反対に、読みやすい文章だったら、例えキーワードをすべて外しても、法律的に間違ってない、惜しいと思ってくれる可能性はあると思います。

u        知らない問題でも諦めずに部分点をとりにいく 

   平成19年の民法第2問目は、かなりマイナーな条文からの出題でしたが、なんとか食らいつけば、部分点は取れる問題でした。ぱっと見て駄目だと思った人は、当たり前ですが1点ももらえません。毎年、あと1点、2点というところで涙をのむ人がいるのですから、最後まで粘りましょう。

AはBに対して3,000万円の貸金債権を有しており、この債権を被担保債権としてB所有の建物に抵当権の設定を受けた。ところが、この建物は、抵当権設定後、Cの放火により焼失してしまった。BがCに対して損害賠償の請求ができる場合に、Aは、どのような要件のもとであれば、この損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができるか40字程度で記述しなさい。なお、字数には、句読点も含む。

(答案構成)

第三者Cの放火により、抵当権の目的物は滅失している。

           ↓

抵当権者Aが、抵当権の効力を当該損害賠償請求権に対して物上代位をする

抵当権の交換価値が現実化した

           ↓

第三者Cが損害賠償の請求に応じて建物所有者Bに支払いをしてしまう前に物上代位する

           ↓

物上代位権を行使するには払い渡し前に差し押さえをしていく(キーワード)という要件が必要

           ↓

これらの要件のもとであれば、この損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができる

(下書き)→答案構成の文章をキーワードを残して、削っていく→(清書)

CがBに対して払い渡す前に、損害賠償請求権をAが差し押さえなければならない。

u         事案を把握して図式化する。この作業は択一式解法で述べたことと同じです。思考過程を羅列していく(答案構成)。40字以内にまとめる(清書)。答案構成は、頭の中に思い浮かんだ条文の知識と、事案に即した思考とを混乱せずに現場であてはめていくために存在します。本試験の現場では、とにかく冷静ではいられないですから、この答案構成という技術は、本試験の当日に本当のありがたみが実感できると思います。

u         平成18年度のような良問がでたら、合格レベルにある受験生はみんなある程度のことは書いてくるので、キーワード(要件)を外していないか、日本語としておかしくないか、法的に問題ないか、検討しておくべきです。反対に、平成19年度のような問題は合格者でもあまり書けないので、なんとか最低限のことを書いて粘る(守りの答案)ことが大切になります。この二つをうまく使い分けられるように解法をストックするべきです。

u         勉強の素材は、志水スタンダードクラスだったらテキスト付属の一問一答を記述として考えてみるのが良いと思います。他にも、択一の肢を記述化して考えるのも良いでしょう。

2008年5月 2日 (金)

第2回 択一式解法<実践編・単純正誤型>

みなさんこんにちは。

今日から具体的に問題を使って(原則として平成19年度行政書士本試験問題)、解法について考えていきたいと思います。今日は、いわゆる単純正誤型と分類される問題について考えてみます。

×問題27 AがB所有の土地をCに売却した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

△1 AがBから土地の所有権を取得してCに移転できない場合、Cは、契約時にAに土地の所有権がないことを知っていたとしても、契約の解除ができる

○2 Cは、悪意または有過失であっても、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効取得する。

○3 AがBの代理人と称して売却した場合、代理権のないことを知らなかったCがこの売買契約を取り消せば、BはもはやAの代理行為を追認することはできない

×4 AがBの代理人と称して売却した場合、Cは、Aに代理権のないことを過失によって知らなかったとしても、無権代理を行ったAに対して責任を追及できる

×5 所有権者Bが自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、そのまま放置していた場合には、Bは、Aを所有者だと信頼して買ったCに対抗できない。

u         民法はAとかBとか複数の人が出てきたら必ず図式化して問題を解く癖をつけてください。頭の中で考えられるよという人もいるかもしれませんが、本試験の現場では通常よりも緊張してうまく思考が働かない場合があるからです。また、普段から図式化して解く癖をつけておけば、本試験までにそれが当たり前になっているので、ぜひ実行してください。

u         単純正誤問題は、必ず正解があるということは確実ですが、5肢にメリハリをつけて読むということが肝心になります。後ろのほうに正解がある場合が比較的多いので時間がないときは一番最後の肢から解いていくのもいいかもしれません。

u         本問は、すべてAランクの条文に事案をあてはめていけば、正解が出ます。私の場合は、上記のように下線を引きながら解いていきます。その事案のなかで何がポイントとなっているか明確になるからです。そして、ぱっと読んで即正誤の判断がつかないものは△を使います(正誤判断ができたものも横に大きく○×をつけるとケアレスミス防止になります)。そして、肢4が正解っぽいけど、自信がない場合には、△をつけたところとどちらが正しいのか精査します(第1回「二択に絞ってからが勝負」参照)。この作業のところは集中力を使いましょう。私は、この△を使い出してから択一の正答率がアップしました。5つの肢を読む中で最初の肢1で「これどうだったかな?」と悩んでいる時間はありません。択一で時間が足りないという人の大半がこういったタイムロスを無意識にやっています。

u         もし間違えたら、何が原因で間違えたかノートに記していくのもいいでしょう(択一間違いノート)。①単純に知識不足だったか、②知っているのに(AとかBの主体を誤って間違えたか、③○×を逆にしてしまったか。

u         ①テキストに戻って確認する→記憶する→必要な関連知識は余白に書き込んで情報を一元化する(第2回「復習方法」参照)。②、③はケアレスミスです(第1回「ケアレスミスを防ぐ」参照)。私は、民法だったら、図式化して誰がどういう請求権を行使しているのかを把握して、下線を引きながら事案のポイントを明確にしていきます。はじめのうちは面倒だし、時間がかかると思いますが、今の時期にこういった方法論を身に着けようと努力すれば、本試験までには上記の問題が素早くかつ確実に解くことができるでしょう。また、問題を読んで「正しいものを選べ」なら横に大きく○と書いておきます。そういった、なんでもないことでもミスをしないために必要なものはビジュアル化していきましょう。また、4色ボールペンとマーカーも難しい問題のときは使っていきます(これについては、次の機会に説明します)。

2008年4月11日 (金)

第1回 択一式解法<総論編>

みなさんこんにちは。これから択一・記述の解法について少しずつお話していきたいと思いますのでよろしくお願いします。今回は、択一式の解法総論編です。まず、はじめに誤解しないでほしいことは「解法」を知るということは、地道な学習(インプット)があってはじめて活きるということであります(少なくとも私はそう思っています)。合格者はたいてい択一・記述の自分なりの解法をもって試験に臨むので、演習(アウトプット)をする際にただ闇雲に問題を解くより、ある一定の方法論を初学者の段階から意識して演習をした方が学習効率が上がります。

「解法」を学習の早い段階で意識しておけば、本試験までに自分なりの「解答手順」を確立することにつながっていくのでこれを読んで短期合格を目指して頑張ってほしいと思います。最終的にはご自分に最も合致した方法を見つけることができれば良いと思います。

★択一式解法★

u        合格者がとる問題を確実にとる

    短期合格者は、難しい問題は全く解けません。しかし、Aランクの問題は絶対に死守します。

u        5肢の読み方にメリハリをつける

      短い時間の中、60問も問題を解かなければならない。単純計算で1問あたり3分、文章理解や記述、多肢選択・空欄補充、推論問題など1問に多くの時間を必要とする問題があることを考えると、普通の択一問題は実質2分以内で解かなければならないものもあります。とすれば、5肢すべてに同じ集中力をあてられるはずはありません。5肢の読み方にメリハリをつける必要があります。

u        2択に絞ってからが勝負

      5肢の中には、正解に導くための有益な肢が2、3あります。それは、Aランクの知識そのもの、Aランクの知識から推論できるものです。あとは煙幕のようなもので普通の受験生なら知らない知識で構成されています。そこで、確実な知識を使って、2択まで絞り込んで、最後にもう一度、どちらがより正解にふさわしいか精査します。

u        組合せ・単純正誤・個数・推論それぞれの対応を準備しておく

      組合せなら2、3の肢がわかれば正解を導く確立が高いので、どうやって検討すれば効率がよいのか解法をストックしておきましょう。単純正誤問題は、必ず正解があるということは確実ですが、5肢にメリハリをつけて読むということが肝心になります。個数問題は、正解がいくつあるのかわからないため、5肢すべてに集中しなければならず、正解率も下がるため、どういう場合に取り組んでいくのか解法をストックしておきましょう。ただし、一般に個数問題はAランクの知識で構成されていることが多いため、はじめから捨て問にするのはもったいないです(時間が余ったら解くとか一定のメルクマールは準備しておきましょう)。推論問題は、時間がかかりますが、時間さえあれば知識がなくても正解にたどり着けるため、どういう場合に取り組んでいくのか解法をストックしておきましょう。

u        ケアレスミスを防ぐ 

       厳しいようですが、「次回気をつければよい」とか「ケアレスミスは仕方がない」という甘い認識をしている限りはいつになっても合格できません。まずは、自分がどのようなケアレスミスをするのかを認識し、そしてそれを防ぐにはどうしたらよいのかを具体的に考え対応する必要があります。短期合格者はこの点を徹底しています。演習を通じて、自分がどういう種類のケアレスミスをするのか解法をストックしておきましょう。

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