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1996年4月 1日 (月)

第8回 心の目

自分が裏切られたと思ったら、その原因は必ず自分にある。よって、許しを乞うべきは自分の方である。原因・結果の法則は普遍的である。」これは私の尊敬するある方が獄中から私に送ってくれた手紙にあった言葉です。私はこの方の弁護の中で人間の本質についてずいぶんと教えていただきました。特に無意識の世界の重要性や直感や心の目については夜遅くまで議論したこともありました。よく、心の目で見ろといわれることがあります。サンテグジュペリの「星の王子様」でも「心で見なくちゃ、物事はよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ。…人間っていうものは、この大切なことを忘れているんだよ。」とあります。

 どこの世界にも達人とか本物と呼ばれる人がいます。職人さんや芸術家はもちろん、医者や弁議士にもいます。他方、偽物もいます。本物の法律家は心の目でものを見ることができる人だと思っています。無意識や直感の重要性を感覚的に認識している人だと思います。直感なんかで裁判されたらたまらないと思う人もいるかもしれません。しかし、自白した被疑者の本心はどこにあるのか、それを直感的に見抜けなくては検察官はつとまりません。証言台に立った証人の心を読めなくては判決など書けません。自分に都合のいいことしか言わない依頼者を理解するために弁護士は心の目を養うことが必要です。

 人は無意識の世界で別の自分を創っています。その自分はすべてを感じ、すべてを動かし、すべてを見ることができます。よって、すべてを知ることもできるのです。肉体はいつかは滅びます。それを認識しつつ毎日、自分の無意識の目、心の目を磨いていこうと思っています。きっとこの心の目はすべての生き物やこの地球自身にもあると思います。

 東京渋谷の塾前に桜並木があります。ここの桜は一年間の沈黙の間に何を見ていたのでしょうか。そろそろ芽吹き始めます。