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1997年5月 1日 (木)

第21回 自分の未来を創る

The Great Lawyers II - 我妻 栄(わがつま さかえ)1897~1973 民法学者。

 形式論理に従って結論を導き出す概念法学が主流であった大正・昭和初期 の我が国の民法学に、社会学・経済学・社会主義の研究を取り入れることによって、 民法を社会的現実との関連で体系化し、今日の日本の民法体系の礎を築いた。

 我妻民法は、判例との結合を通じ、「自由の確立の上に立つ平等の要請」に基づき、「取引の安全」を尊重し、「法的安定性と具体的妥当性の調整」を図る点に大きな特色がある。

 1897年山形県に生まれ、1917年に第一高等学校、1920年に東京帝国大学法学部法 律学科を卒業。1927年東京帝国大学教授となる。1957年東京大学を停年退官、1964年 文化勲章を受賞。日米安保条約が批准された1960年6月7日の朝日新聞紙上に、一高・ 東大を通じて級友であった岸信介元首相に宛てた「岸信介君に与える」という手記を発表したことも有名。

 息の長い人間になって下さい。大器の役目を果たして下さい。  -興譲館高校編『我妻栄先生講演集』より

 試験が近づくとどうしても不安になり、試験を諦めようとする人がいます。 しかし、この時期は誰もが不安になるものです。そこで負けてはいけません。どうしてもこれを成し遂げたいという強烈な思いを抱き、成し遂げるには自分がこれを実現するんだという確信と、そのために必要なことを冷静に合理的に考えて準備し行動することが必要です。そして必死になってそれを実現するべく実行します。強く熱い思いと、冷静な判断力・行動力が何よりも夢を現実にするためには必要なのです。強烈な思いをぜひもってください。

 明治維新の志士たちも強い意志によって新しい時代を切り開いてきました。皆さんも意味があって今自分の夢を成し遂げようとしているのですから、自分の目標に向かって強い意志をもって進んでください。そして、何をなすときも、目標は自分の能力以上のものであることが必要です。特に試験においては、 現在の自分を基準にしていたのでは何もできません。たとえば、現在の実力で合格できるか否かはある意味では模擬試験などで判断できるかもしれません。しかし、明日のことは誰にもわからないのです。試験当日に普段の実力いやそれ以上が発揮できるかは誰にもわかりません。結局、それを決めるのは自分です。確実なものが何もないときに信じることができるのは自分だけです。ならば自分の可能性を信じてください。証明するものが何もないときこそ、自分自身を信じるのです。そして夢はいつでも、何としても成し遂げようとする意欲があるから実現するのです。

 自分の未来は自分が創り出すものだとよくいわれます。それは未来は現実に今存在するものではなく、すべて自分の頭の中にあるものだからです。不安も、将来のことをいろいろと思い悩んで自分の頭の中にあるだけで実在するわけではありません。そして、自分は今自分がなろうと思ったようになるし、自分が信じてもいないことを実現させることはできません。理想に対して「確かにそれはそうだが、現実にはむずかしい」とか、「現実はそんなに甘くない」とかしたり顔で言う評論家になることは誰にでもできます。 でも、それをできると思い続けてあきらめずにしぶとく信じ続けることができる人は それほど多くはいません。

 合格者と不合格者の実力の差は本当に紙一重です。択一合 格ラインに一〇〇〇人近くの人間が1点差で並んでいます。この人たちにはほとんど 実力の差などありません。しかし、合格者と不合格者に分かれるのです。なぜでしょうか。それは途中で無理だと自分で諦めてしまう人がとても多いからです。人なみ以上の努力が必要なことはみなわかっています。そのため、合格したいと願う人はそれなりに頑張ります。しかし、合格したいという願望を抱いているにすぎない人は、「 頑張ったんだけれども・・・」で終わってしまいます。人なみ以上に努力しただけではだめなのです。どんなことがあっても最後まで頑張るというしぶとさが必要なのです。 不安から自分で勝手に頭の中に作った壁や障害に負けないでください。壁を突破するコツはただただ、ねばりです。心から信じること、単純ですが自分の未来を創ることはそこからすべてが始まります。最後まで自分が自分にとって一番の理解者であり、 サポーターでいてあげてください。

 皆さんの択一試験での健闘を確信しています。