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2002年5月

2002年5月 1日 (水)

第81回 世間の相場

 最近、人気の浮き沈みが激しいようです。スポーツ選手や芸能人などは当然としても、政治家や政党まであたかも人気商売のようです。就職に際しての人気企業や大学のランキングなんていうものもありました。ランキングを扱った番組や雑誌もけっこう人気のようです。こうしたランキングや世間相場の浮き沈みに一喜一憂することは外野には楽しくても、関係者なら身が持たないでしょう。ランクを気にして自分の進路を決めようとする人にとっても、迷いと悩みは深まるばかりです。今年はロースクールの影響で法学部が人気だそうですが、ロースクール入試の難しさに気がつき、やはり楽して法曹になれるわけがないということが知れ渡ると、残念ながらこの人気も一気に落ち込むことでしょう。

 こうした他人ごとについては冷静に見ることができても、自分の人生の浮き沈みとなると穏やかな心ではいられないのが人情です。大学入試まではうまくいったのにどうも司法試験はかってが違う。最近、急に辛いことばかりが連続して起こる。なぜか自分だけが不幸を背負っている気がしてならない。冗談ではなくこう考えたくなるときがあるものです。
 こうした浮き沈みをどう乗り越えるか、それこそ世渡りのコツなのかもしれませんが、やはり辛抱が大切なようです。長い人生においては、世の中の波長と合わずに何をやってもうまくいかない時期もある。そうしたときには、無理をしないことです。まさに「ゆっくりいそげ」です。

 勉強の調子がでないときもあります。やることなすことすべて裏目にでることもあります。そんなときには、悲観してみても仕方がありません。淡々とやるべきことをやって、じっと時を待つのです。よい意味の開き直りです。そして大切なことは、誠実に淡々と過ごすということです。捨て鉢になってはいけません。どんなに落ち込んでも、誠実さを失わないことです。落ち込んだときほど人に優しくすることです。自分がひどい目にあっているときには、人に優しくすること。それがコツです。そして十年待つのです。十年なんて待てないという人もいるかもしれません。でも、十年待つ気持ちさえ持てればたいていのことは乗り切れます。そして十年長生きすればいいのです。

 歴史を感じさせる文化遺産の前に立つのもいいでしょう。樹齢数百年の巨木に触れるのもいいかもしれません。ヨーロッパに行って百年単位の歴史などあたり前の街の雰囲気を感じてくるのもいいことです。とにかく時間の流れを意識して、今にこだわらないことです。
「おれなどは生まれつき人がわるいから、ちゃんと世間の相場を踏んでいるよ。上がった相場も、いつか下がるときがあるし、下がった相場も、いつかは上がるときがあるものさ。その上がり下がりの時間も、長くて十年はかからないよ。それだから、自分の相場が下落したとみたら、じっとかがんでおれば、しばらくすると、また上がってくるものだ。
・・・その上がり下がり十年間の辛抱ができる人は、すなわち大豪傑だ。おれなども現にその一人だよ。おれはずるいやつだろう。横着だろう。しかし、そう急いても仕方がないから、寝ころんで待つが第一さ。西洋人などの辛抱強くて気の長いのには感心するよ。」私の好きな勝海舟語録氷川清和からの一節です。