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2003年6月

2003年6月 1日 (日)

第94回 日本一

私は1995年に伊藤塾を立ち上げたとき、ここを日本一の法曹養成機関にしたいと考えました。松下村塾や適塾への思い入れから塾という名称を用いましたが、実質はロースクールのつもりでこれまで多くのことに挑戦してきました。明日の法律家講座を毎月実施して実務の現場を知ってもらい、法律実務家入門講座を開講して倒産法や国際人権法、企業法務、知的財産権、労働法、ジェンダーと法など司法試験科目を離れて法律実務の最先端を学習する機会を設けてきました。また、沖縄、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどへの視察ツアーを実施し、合格後を考えるという塾の理念を形にしてきました。これらはみな真の法律家を育成したい、実質的なロースクールでありたいという思いの表れです。

 2004年から法科大学院が始まります。多様性、公平性、公開性を満たし、理念をもった法律家の育成を行うことができるか今はまったくの未知数です。当初の理想と大きくかけ離れた結果に終わってしまう危険もあります。そこで私は各大学任せではなく、伊藤塾自身がこの問題に正面から取り組むべきであろうと考え、ロースクールを立ち上げる方向性を模索し続けてきました。その結果、現時点でベストの選択として龍谷大学と提携し、その東京校の立ちあげ、及び京都校に全面的に協力することにしました。このような形でこれまで考えてきた理想の伊藤塾ロースクールを実現します。

 なぜ龍谷大学なのか。それは龍谷大学の教官の方々と護憲という観点及び法曹養成の意義という点でそのめざすべき理想が一致したからです。法学部が正面から護憲を掲げ、その思いの教官がまさにその理念のために活躍されているところを他に知りません。これから創る法科大学院はこれまでこの日本になかったまったく新しいものです。アカデミックな研究と実務と教育が三位一体となったシステムを構築していかなければなりません。そのため、法科大学院の教官は相当な負担を強いられることになります。今回の計画にはこのことを覚悟の上で、ジェンダー、国際人権法、IT、子どもの権利、刑事弁護等の第一人者の方々が、理念に共鳴してくださって伴にこの新しい試みに参加してくださいます。まだまだ保守的な考えが強い法律の世界で、世間では予備校といわれ諸悪の根源のような叩かれ方をしてきた私たちと協同してくださることがどれだけのことなのかを私は誰よりも理解しているつもりです。こうした新しい意欲に満ちた方たちと伴に日本一のロースクールを創ることをここに宣言します。
ロースクールを考えている皆さんはぜひ参加してください。

 新しいことに挑戦するには常にリスクを伴います。これまで以上に批判にさらされることも分かりきっています。ですが、リスクをとらなければ夢は実現できません。批判されるくらいの生き方もまたおもしろいものです。皆さんは試験に挑戦し不安と戦っています。私はそうした皆さんに負けないようにまた新たな挑戦をしようと思います。この法科大学院という新しい挑戦が成功するかどうか誰にもわかりません。ですが、挑戦する価値はあると思っていますし、日本一のロースクールを創る気概は誰にも負けないつもりです。あえて困難に挑戦して苦闘している私の姿を皆さんに正直に伝えることが皆さんの元気の素になればと思います。もちろん今後も現行司法試験の応援は必死でやっていきますので、皆さんも絶対に最後まで諦めずに頑張ってください。