« 2003年12月 | メイン | 2004年2月 »

2004年1月

2004年1月 1日 (木)

第101回 謹賀新年

 明けましておめでとうございます。昨年は多くのことが起こりすぎて大変な一年でしたが、なんとか持ちこたえました。信念を貫くことが困難な時代に自分の思うことを続けることができ、新たな年を迎えられるということは本当に有り難いことなのだと実感します。そして何よりも私たちはこうして命をつないでいくことができます。 

 20世紀が戦争の世紀であったことは多くの方が指摘するところです。一千万人も戦死した第一次世界大戦、その数倍の人が死んでいった第二次世界大戦、そして多くの独立戦争や内戦などで幼い命や弱い者たちの命が失われていきました。21世紀はこうしたことへの反省から始まったはずでした。しかし、現実の世界はまた同じ方向へ戻っていくようです。いったい、戦争で失われた命の意味は何だったのでしょうか。戦争だけではありません。未だに貧困、飢餓は多くの子どもたちを苦しめています。私たち自身も物が溢れるこの時代にどっぷり浸かってしまい、戦争の被害体験や加害体験の悲惨さも忘れてしまっています。多くの凶悪犯罪や事故そして自殺で失われる命を思うと暗澹たる気持ちになります。

 ですが、人はこうして殺し合いを続けながらも、他方ではまた新たな命を生み出しています。この命の連鎖は驚異的です。戦争が永久に続くように見えても、この命の鎖もまた永遠に続きます。私たち人間には生き続けようとする根元的な欲求とそれを実現する力が備わっているようです。そしてその生きるという意欲を権力に対して主張することこそが人権の本質です。平和的生存権です。私はこの平和的生存権こそがあらゆる人権の中でもっとも根元的で重要なものと考えています。人は殺し合いもするけれど、やはり平和の中で生きたいと願い続けるものなのです。

 そうして人は立ちあがることができます。人類の生命の連鎖の中で自分の一生はほんのわずかですが、その鎖の輪の貴重なひとつであることもまた間違いありません。人類という大きな長い鎖の中での役割を自覚することが必要だと思っています。

 私たちは単に死ぬために生まれてきたのか、そうではありません。やはりよりよく生きるために、多くの人がより幸せを感じて生きることができる世界をつくるために、多くの新しい命は生まれてくるのだと思います。憎しみを持つために生まれてくるのではなく、人を愛するために生まれてくるのだと信じています。

 人には想像力と理想を追い求める力があります。この2つの力で、現実に妥協し目先の利益だけを追い求めようとする自分に歯止めをかけることができます。そして人には何よりも愛の力が備わっています。自分を愛する力、人を愛する力です。何が起ころうと自分を見捨てず大切にし、そして周りの人を思いやる力を発揮できるはずです。人はそうして命の鎖をつなげてきたのです。自分を信じてゆっくり前に進みましょう。

 今年が皆さんにとってすばらしい年になりますように。

 そして世界の子どもたちの笑顔が少しでも増えますように。