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2004年2月

2004年2月 1日 (日)

第102回 国益

 アフリカのシエラレオネの平均寿命は34歳だそうです。ダイヤモンドを巡る利権争いから内戦が起こり、生きていくこと自体が奇跡に近く、栄養失調やマラリアによって子どもたちの4人に1人は5歳まで生きられないそうです。平均寿命は、基準となる年の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、0歳児が平均的に見て今後何年生きられるかという期待値を表したものですから、状況を変えれば延ばすことができます。死産を減らし,病気の予防法や治療法を進歩させ,事故や戦争を無くせば,延ばすことが可能ということです。

 現在日本の平均寿命は82歳で世界一ですが、50歳を越えたのは第二次世界大戦後です。ひとり一人が安全に暮らせる社会をつくることが国家の目的だとすれば、日本は戦後よくやってきました。

 しかし、医療の進歩によってやっと長生きできるようになってきたのに、また戦争で命を奪い合う。どう考えても不合理です。豊かになるために経済を発展させたにもかかわらず、経済苦から自殺する人が後をたちません。いくら交通事故を減らしても自殺が毎年3万人を越えるのでは暮らしやすい社会とはいえないでしょう。

 ウイルスという微生物によって私たち人間の生活が大きく狂わされようとしています。鳥インフルエンザが人から人に感染するようになると地球上の5億人が犠牲になる危険があるそうです。大変な数です。いかに私たちが無力か。そしてまた偶然によって生かされているにすぎないのかがよくわかります。

 私たちは、実は大変に危うい日常をかろうじて生きているわけです。にもかかわらず、そのことに思いをいたさず、あえて国民を危険にさらす必要がどこにあるのでしょうか。

 政府は毎日のように既成事実を積み重ね、自衛隊に本来予定されている以上の活動をさせようとしています。これも日米同盟という国益を守るためだということです。ちなみにアメリカでブッシュ大統領のイラク戦争を徹底批判している民主党政権となったら日本の国益はどうなるのでしょう。日米同盟が何よりも大切ということは、今度はイラク派兵反対ということになるのでしょうか。日本はポリシーがあってイラク派兵をしたわけではないのですから、アメリカの政権交代によって日本の政策も大転換というわけです。人道支援や国際貢献という美名が今度はどのように使われるのか見物です。滑稽ですが、それが日本の現実なのかもしれません。日本は自立などできないのだから、アメリカの属国として生きていくしかないというきわめて現実的な判断です。しかしそれでは国のためにリスクを背負わされた自衛隊員があまりにも気の毒です。

 この国が主体性を持つと言うことは私たちひとり一人が主体性をもって生きるということに他なりません。憲法は、自らの幸せは自分で定義するという意味で幸福追求権、自己決定権を保障しました。主体的に生きよということです。法律家としてまたその卵として毎日を主体性を持って生き、学習することが自分たちの将来を決めるのです。シエラレオネだけではありません。世界にはもっともっと気にかけなければならない地域がたくさんあります。また、この国の中で自ら死に追い込まれていく人も後を絶ちません。私たちの生活を安全で幸せなものにすることが国家の役割であることをもう一度しっかりと認識すべきです。そしてその国家を私たち自身が作りあげているのだということを改めて自覚すべきときだと思います。