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2004年11月

2004年11月 1日 (月)

第111回 キッパリ

ふらっと書店に寄った際に、「キッパリ」という本を見つけました(上大岡トメ・幻冬社)。表紙のまさにキッパリした姿に惹かれて手に取りました。「たった5分で自分を変える方法」というサブタイトルがついていてベストセラーだそうです。この手の本が売れるのは日本中に現状に満足しておらず自分を変えたいと思っている人たちがたくさんいることの証です。

 この本の中には、思わず「そうそう」と頷くことがたくさん出てきます。「メモ帳を持ち歩く」「人と比べない」「自分の気持ちを紙に書き出す」「疲れたと思ったらとにかく眠る」「自分からあいさつをする」などなど。この著者のすごいところは、ここに上がっていることを実践しているということ。こうした方法を思いつくことはいくらでもできるのですが、それを実行することはなかなかできません。一つでも実行して、自分を変えることができたら、それは本当にすばらしいことです。自分を変えようというパワーを皆が持って、何かを実行し始めたらこの世の中はきっと変わっていきます。それは主体的に生きることを意味するからです。

 今、この国は本当におかしくなっています。相次ぐ自然災害で現実の生活に不安と困窮を強いられている国民が多数います。しかし、イラクの自衛隊に何百億も使いながら、こうした人々を救済するための予算がないといって対策が遅れる。大人は自分たちの都合で少年を犯罪と薬物に追い込んでおきながら、愛ではなくムチばかり。国民の税金を使って何の大義もないアメリカ軍を支援し、さらにイラクの民間人が殺戮される手助けをする。人殺しの道具を作る技術に磨きをかけて武器輸出ができるようにしたいと経済界は必死。アメリカに追随する政府は、自衛隊ですら安心して行動できない地域を非戦闘地域であると強弁し、法律がまったく無視されても国会は何の監視機能も果たせない。こうした国に私たちは生活しているのです。

 パレスチナ問題も混迷を深め、コソボでも依然として民族対立が続き、アフガニスタンも相変わらず軍閥が跋扈し、どこもかしこも絶望的な状況です。ですが、そうした国際社会を作っているのも私たち一人ひとりです。私たちも世界の一員であって、決して日本の外の出来事で自分に無関係なことと済ませることはできません。こうした一見絶望的な世界を変えるためには、世界市民の構成メンバーの一人である私たち自身が変わるしかありません。私たちひとり一人が変わらなければ、日本の社会が変わりません。日本が主体性をもつ国に変わらなければアメリカもヨーロッパも中東も変わりません。イラクに平和が訪れるために私たちにできること。それは、私たちひとり一人が、本当に心から人殺しはいやだと思うこと。正しい戦争などないのだと心の底から信じること。愛国心の名のもとに閉鎖的になるのではなくて、自分と違う人たちを受け入れようとすること。今自分に与えられた命を全うしようと本気で努力すること。そして自分に与えられた責任を果たすこと。

 皆さんのやっている勉強は本当に価値があることです。ひとり一人が変わり、学んで得たことを実現していけば世の中はきっと変わります。私たちひとり一人の主体性をもった変化の積み重ねでしか世界は変わりません。自分を変えようとするこの私たちのパワーがあれば、世界をもっと子どもたちが笑顔で過ごせる社会に変えられるのです(キッパリ)。