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2005年2月 1日 (火)

第114回 実行

ブッシュ大統領2期目の就任演説が話題になりました。自由の拡大、圧政の終焉という抽象的な言葉をちりばめ、特に「自由」をわずか20分の間に42回も使ったというのです。小泉首相も国会で浜口雄幸を引き合いに出して「男子の本懐」という名句をまねたものの具体的な説明責任を果たしていないと批判されました。この2人には抽象的なキャッチや美辞麗句ばかりを並べるという特徴があります。

 ブッシュ大統領は1期目の就任演説においても、「アメリカを束ねる様々な価値の中でもっとも偉大なものは、すべての人が社会の重要な一員であり、すべての人に機会が与えられており、意味のない人生というものはひとつもないという信念である。」と述べています。

 こうした価値自体の重要性は誰もがわかっています。ですが、民主主義も自由もどう実現するかが問題なのであって、こうした指導者の抽象的な言葉に世界や国民は納得していません。私たちは具体的な世界に生きているからです。もちろん抽象的な思考も不可欠です。しかし、それを具現化する道を示すことが指導者の役割であり、この抽象的な理念と具体的な方策との橋渡しをする実行力こそが求められているといえます。

 このことは勉強でもまったく同じ事がいえます。考える力が大切、あてはめが重要、問題提起で勝負、一問一問を大切になどのキャッチフレーズは皆さんもご存じの通りいくらでもあります。問題はいかにそれを具体的に実行するかにあります。

 私たちの役割もこうした抽象的な言葉を並べ立てるのではなく、それを具体的に実行可能なものにして伝えるところにあるといえるでしょう。

 講義は不特定多数の塾生に向けての一方通行となるために、どうしても抽象的にならざるを得ません。そこで、講義をより具体化し個別にフォローする仕組みが必要となります。この塾では小教室やゼミを充実させ、クラスマネージャーによる質問受けやフォロー講義が、その具体化の役割を担っています。教材と講師とクラスマネージャーもしくはゼミが三位一体となって合格をサポートしているわけです。これこそ塾の特長ですから、皆さんにも大いにゼミや質問制度を利用してほしいと思います。

 普段の勉強においても頭で分かっていることを毎日の行動としていかに具体的なものに落とし込むかが重要です。それをせずに勉強方法の評論家になったり、講師や学校の批評家になっても何の意味もありません。

 人間の優れた点のひとつは、抽象的な思考ができる点にあります。しかし、同時に人間が進化してきたのは、それを具体化する実行力を持っていたからです。皆さんには言葉の重要性とともに行動することの大切さを認識した法律家になってほしいと思っています。思考ばかりで行動を伴わない頭でっかちの法律家では、依頼人を救うことも世の中を変えることもできません。世の中を変える動輪たる人財は行動する人でなければならないのです。やらなければならないとわかっていることをひとつでもすぐに実行していきましょう。そこから明日が変わっていくはずです。

 私も改憲の動きや法科大学院制度の進展に伴って、抽象的にやりたいと考えていることは山のようにあります。それらについて、しっかりとした思考をめぐらし、かつひとつ一つを着実に、そして具体的に実行していきたいと思っています。