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2005年3月 1日 (火)

第115回 天体観測

東京で春一番が吹いた日、久しぶりに気のおけない友人と共に星を見ることのできる温泉宿に出かけました。ひなびたところにある由緒ある温泉なのですが、なぜか私設天文台があると聞いてとても興味を引かれました。昔、天文クラブに所属していたことがあるという仲間の一人の指南を仰いで、ここはひとつ中年オヤジのロマンで盛り上がろうと意気込んで出かけました。これまでのキャリアも年齢もまちまちの仲間ですが、だからこそお互いに刺激し合うものがあって、こうした連中との旅はとても心地よいものです。ちょい悪オヤジをめざす一人の仲間が途中で何かを予感させる出会いに遭遇したり、また、愛する彼女のために信念をころっと変えてしまった男の純愛に一同感動したり呆れたり、はらはらどきどきのとても濃密な時間を過ごすことができました。

 この年になると、こうした心の動きが鈍くなるものです。人の頭と心と身体は別物であるものの、実は一体ではないかとつくづく思います。勉強や仕事などの頭を使うことも、わくわくする心や感動があると思いのほか進むものです。よく年と共に記憶力が落ちるという声を聞きますが、それは単純に記憶力の衰えというよりも、感動する心を失っていることにより、脳の扁桃体という部位の活動が鈍くなるからと考えられます。喜怒哀楽が絡んだことは扁桃体が刺激されて記憶が定着しやすいらしいのですが、年齢を重ねるとどうしても物事に対する情熱が薄れ感動する機会が減ってきてしまいます。いつまでもわくわくドキドキする気持ちを持つことで記憶力も学習能力も高いレベルで維持できるのです。

 また、病は気からといわれるように、心の持ち方や感動は身体にもとてもよい効果を及ぼすようです。実は今年の正月にちょっと食べ過ぎを後悔してかなり負荷をかけたスクワットをやりすぎ、膝を痛めてしまいました。150歳まで生きると宣言した割には情けない話で、自分でも笑ってしまいます。しばらく暖めたりして落ち着かせていたのですが、一番効くのは心の安らぎのようです。安心して心を開ける友と温泉につかりながら語り合った後は、痛みも嘘のように引いていました。温泉の効能もあるでしょうが、何よりも心のリラックスが身体にもよい影響を与えたようです。こうした時間と空間を共有できる友を持つことは大きな喜びのひとつです。

 わくわくドキドキしたり、ほっとしたり、こうした感情のうねりや高揚感はけっしてマイナスにはならないと思っています。むしろこれらとうまくつき合う方法を見つけることができれば、勉強や仕事など頭を使うことにもまた身体的にも良い効果があると再認識しました。ただ、リラックスタイムと集中して勉強や仕事に打ち込む時間の切り替えがポイントです。効率よく勉強や仕事をするにはこのオンとオフの切り替え方法を自分なりに体得しておかなければなりません。オンはオフのためにあり、オフはオンのためにある。どちらも充実させることが私の課題です。今、話題のほりえもんもリフレッシュ時間は絶対に必要だと言っているのを聞いたことがあります。既存の権力や価値観に果敢に立ち向かおうとするエネルギーは十分な睡眠と休息によって得られるもののようです。

 温泉につかりながら、時を忘れて話し込んでいるうちに、すっかり天体観測のタイミングを逃してしまいました。残念。