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2006年3月

2006年3月 1日 (水)

第127回 継続

荒川静香選手の「勝ち負けにこだわるのではなく、自分のスケートにこだわった」という一言が響きました。あれだけの大勝負に臨んで、勝ち負けにこだわらないという境地はどこから生まれるのでしょうか。私は、鍵は継続だと考えています。

 本試験当日に、難問に直面すると、どうしても、この一問が解けなければ合格できないかもしれないと悪い方へ考えてしまいがちです。無心に目の前のその一問だけに自分の意識を集中させて、淡々と解いていくことが合格の秘訣なのですが、容易なことではありません。
 結果として合格しているという感覚は経験してみないとわからないことなのですが、まさに一問一問、その瞬間、瞬間を懸命に努力した結果として、合格がついてくるという感覚なのです。ねらっていくというよりも、結果としてついてきたという感覚です。メダルがかかった本番であるにもかかわらず、あたかもエキシビションのように勝負を忘れて楽しそうに美しく舞う。これはとてつもない練習量と精神的な強さがないとできないことです。何度もスランプを乗り越えて継続することで獲得した、しなやかで強靱な真の強さです。

 オリンピックを見るたびに試験が毎年あってよかったと思います。もし、皆さんの試験が4年に一度しかなかったら、一体どれだけの人が受験を続けているでしょうか。
 最近、継続することの重要性を強く感じます。目の前の困難を乗り越えてひとつのことを続けることによって、人間は強くなり、人に勇気を与えることができるようになります。どのようなスランプも、もうダメだと思うような経験も、そこで止まらずに続けていれば、すべて次に向けてのステップになるのです。スポーツのよさは負けが必ず明日につながるところです。

 このことは日々の勉強でもまったく同じです。模試の結果をいかに次に活かすか。本試験の結果をいかに人生に活かすか。もちろん合否の結果は重要です。しかし、それ以上に、その結果の活かし方によって、その合否の意味が大きく変わってくるのです。結果そのものよりも、それに対する対処の仕方によって、その価値は変わります。継続する限り「負け」はありません。

 まずは、続けることです。ただ、ひたすら続けること。変化を求める世の中だからこそ、逆に変わらず続けることに価値があるのです。私も愚直に続けてきました。24年間にわたる受験指導。10年の節目を乗り越えた塾経営。200回を越える明日の法律家講座。毎月10回を越える憲法講演。そして127回になるこの雑感。自分でもよく続けて来られたと思います。もちろん、順風満帆であるわけもなく、当たり前のことですが、波風を乗り越えての継続です。この積み重ね、時の重みは大きいです。さすがに少々のことでは揺らがなくなりました。動ぜず、うろたえずに事にあたるだけの胆力は鍛えられました。

 合格を確信して、必死に努力する。これが王道です。学問に王道はありませんが、受験には王道があります。人と比べることはありません。基本に忠実に、やるべきことを絞って、あとは淡々と繰り返すだけです。一問一問に意識を集中させて、自分の内面を鍛え続けることです。継続は必ず大きな力となって返ってきます。