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2006年12月 1日 (金)

第136回 地方の力

 11月は日本各地へ講演に出かけて行く機会が多くありました。3日に神戸で行われた「はばたけ!9条の心」ではなんと7500人もの市民で巨大なホールが一杯になりました。これは圧巻でした。伊藤塾講師でもあり、9条を守るために大活躍の宮武先生が中心となって行われたイベントですが、若者達が年輩者と一緒になって作り上げていったところが特にすばらしかったと思います。

 その後も、伊丹、西多摩、大津、大阪、宇治、藤枝、熊本、福岡、大宮などで憲法の話をしてきました。熊本では医師、福岡では司法書士、大宮では税理士の方々が中心でした。こうした専門職の方が憲法をしっかりと学習しようとすることは、とても意義のあることで本当にうれしく思います。

 確かに毎週のように出かける地方への講演巡業は体力的にはきついものがあります。48歳にもなって毎日のように何百kmも移動し、帰ってきてから東京で講義をするのはしんどいです。しかし、行った先々で多くの人と出会い、平和や憲法の価値を大切にするその心根にうたれて、元気をもらって帰ってきます。
 私にとっては、地方講演は元気の素です。

 東京にいるとあまり報道されませんが、地方では、憲法を守ろうとする活動がとても盛んです。地方新聞も人権や平和に関する記事をよく載せてくれます。
 全国紙ではあまり取り上げないような市民の活動や講演会の案内も丁寧に載せてくれます。ちなみに11月3日は前述のとおり、神戸で7500人、大阪で2000人、広島で7000人、大分で4000人もの人たちが集まって9条を守ろうと決意を新らたにしたのですが、東京の新聞ではまったく報道されませんでした。

 全国紙だけを見ていると世の中の動きを見誤ってしまいそうです。地方経済の疲弊した様子や、その中でも頑張っている市民の声などは現地に行かないと触れることができません。沖縄の皆さんの「基地をなくしてほしいけれど、地域振興策も諦めることができない」というジレンマは現地にいって初めて感じることができます。

 先日の沖縄知事選では、沖縄県民は基地反対と経済復興の二者択一を迫られました。しかし、そもそもそのような選択を迫ること自体がおかしな話です。安全で平和な沖縄と経済復興の両方を欲することは贅沢な願いなのでしょうか。
 なぜ、沖縄だけが、このような二者択一を迫られなければいけないのでしょうか。私も含めて本土の人間の多くはこの両方を享受しているはずです。改めてこのような選択を迫る政府の姿勢に怒りを感じます。

 先日、北海道の帯広に行って来ました。北海道は札幌以外、行ったことがなかったので、とても新鮮で感動的な時間を過ごすことができました。久しぶりに大自然の中に抱かれるという感覚を味わいました。人間が作った都会の構造物の中で生活していると、人間はこれだけ大きなビルを作ることができるのだからなんでも出来ると錯覚してしまいがちです。ところが、自然の中に身を置くと、人間の力などいかに取るに足らないものか思い知ることができます。都会にいるとついつい傲慢になりがちな自分に適度な歯止めをかけてくれ、謙虚さを取り戻させてくれます。

 帯広で活躍している同期の弁護士が、そこでの仕事と生活がいかに充実したものであるかを話してくれました。この秋、弁護士になった新人で函館、釧路、鳥取、山梨の各弁護士会に登録した人はゼロだそうです。まったくもったいない話です。