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2009年10月

2009年10月 2日 (金)

第170回 プレッシャー

どんな試験でも受験は自分との闘いです。それは不安やプレッシャーとの闘いでもあります。
日々の勉強の中で自分を鍛え上げ、実務家になったときに迎えるであろう「ここ一番という瞬間」に負けない心を作り上げていくのです。日々のプレッシャーへの立ち向かい方はプロのスポーツ選手の言動が参考になります。イチロー選手の言葉には詩人のような繊細さと実践の中から生み出された強さがあります。以下の引用はすべて、『未来をかえる イチロー262のNextメッセージ』(「未来をかえるイチロー262のNextメッセージ」編集委員会著、ぴあ、2008年)からです。

「いつも、恐怖と不安と重圧を、抱えています。たのしいだけでは、プロの世界にいられない。」(94頁)
「プレッシャーは、勝手にかかってしまうものですけど、たちむかってクリアしなければ、なにもこえられません。」(135頁)
「逃げることはできない。プレッシャーを避けようなんて、バカげています。」(110頁)

こうしてプレッシャーを避けるのではなく、自分から立ち向かおうとしています。
そしてさらに、自分に負荷をかけることで乗り越えようとしています。
受験生も試験当日の適度な緊張は力になるのですが、普段から自分に負荷をかけることで頭も心も鍛えられます。そしてスランプのときこそ、負荷をかけて自分の意思で乗り越えるのです。

「節目節目で、自分に重荷を課さなければならない。ぼくには、必要なことだと思っています。」(27頁)
「周囲の重圧にプラスアルファして、自分に負荷を、かけていきました。」(69頁)
「もがいてももがいても、ダメなときってあると思うんですが、でも、そんなときこそ、自分に重荷を課さなければならない。」(35頁)

さらに不安をも自分のエネルギーにしてしまいます。
「不安ですけど、『どうしたらいい?』が活力です。自信満々より、不安の方が、ずっといいんです。」(88頁)
「おなじ苦しむなら、考えて苦しまないといけない。なにも考えないで、ただ苦しんでいても何も生まれない。」(105頁)

ただ、そこでは漠然とした不安に怯えるのでなく、むしろそれをきっかけに前に進もうとする貪欲さが現れています。不安すらも、自分にとって克服の対象であり、頭を使って考えて研究する対象なのです。
こうした一貫した態度が次の挑戦への活力になり自信となっていきます。

「なにかを長期間なしとげるためには、考えや行動を一貫させる必要がある。」(73頁)
「支えは、これまでやってきたことへのプライドと、これからやろうとしていることへの自信、でした。」(46頁)

私たちもそれぞれが目指す試験の先には、また新たな試練が待っています。
法律家になるためにもいくつもの試験がありますし、実務家になった後でも、多くの困難が待ち構えていることでしょう。法律家として生きるということは、そうした試練の連続をあえて選ぶということです。
ですが、最後まで絶対に諦めないという強い決意で臨んでいけば、必ずそれらを乗り越えていくことができます。その姿を見て、依頼者やあなたの周りのたくさんの人々が勇気をもらい、それぞれの人生を自分らしく生きるきっかけを見つけていくのです。

受験生としてプレッシャーに押しつぶされそうになるかもしれません。
ですが、誇りをもって堂々と自分の選択した道を歩んでください。
たとえそれが苦難の道であっても、それは世界の幸せの総量を増やすことにつながる価値ある生き方なのですから。