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2010年5月

2010年5月 3日 (月)

第177回  諦めない

普天間基地移設問題について、県外移設を訴えて沖縄県民の期待を一身に受けてきた鳩山首相の腹案がこんなものだったのかと期待はずれの国民も多いかと思います。そして何より沖縄の皆さん、徳之島で反対運動を始められた皆さんの苦悩を思うと心が痛みます。

高校授業料支援における朝鮮学校への差別にせよ、外国人地方参政権、選択的夫婦別姓という多様性を認め合う社会の構築に不可欠の制度にせよ、少し反対の声があがると腰砕けになってしまっています。これでは、せっかくの友愛が台無しです。

一つの理念を徹底し形にしていくことは本当に大変なことです。もちろん政治は妥協にその本質があります。しかし、妥協も議論を尽くした上の、しかも理念に基づいたものでなければ、国民の信頼を得ることはできません。事実と論理と言葉で国民を説得し、自らの掲げる政策を実現していく力量を日本の政治家に求めるのは、まだ時期尚早なのかと諦めたくもなります。

5月3日には63回目の憲法記念日を迎えるにもかかわらず、国会では憲法論議が低調です。せっかく自公政権のさまざまな政策を憲法の視点から検証するチャンスであるにもかかわらず、国会にはそうした憲法を議論する場すら設けられていません。大騒ぎして作った憲法改正国民投票法の施行が多くの問題を抱えたまま5月18日に迫っているというのに、問題を先送りにしていては何も解決につながりません。

ただ考えてみればこの国は、国民の手で民主主義を勝ち取ったことがただの一度もなく、国民も政治家も問題は他人任せ、先送りでやり過ごしてきた国です。アメリカ国内の環境基準では絶対に許されないような爆音をまき散らしている在日米軍駐留経費の75%も国民の税金で負担し、そんなに気前がいいのでお金が余っているのかと思えば、800兆円を超える多額の長期債務を抱えている国です。そもそも1人1票すら実現していない国でした。あらゆる部分で抜本的な対策を取らなければならないはずです。

何が大切なことなのか、その根本の価値がぶれてしまっているようです。国民にとって何が大切か、どのような方向をめざして努力するのか、そのゴールのイメージが明確でないため、混迷を深めてしまうのです。ゴールを明確にして、理念をもってそれに突き進む。これは何も試験の世界で必要なだけではありません。現実の政治も法律実務ニの世界も、そして日々の私たちの生活でも必要なことのはずです。政治家に憲法価値の実現というぶれない信念を期待できない以上は、その価値を知ってしまった法律家が頑張るしかありません。

まもなく最後の旧司法試験が始まります。そして新司法試験、公務員試験、法科大学院適性試験、司法書士試験と続きます。どんなに矛盾に満ちた制度であろうが、与えられた環境の中で志を高く持ちベストを尽くさなければなりません。どんな状況であろうとも、自分の夢を実現するためには、最後まで絶対に諦めないという強い信念を持ち続けなけれホなりません。

試験制度がぶれても自分の志や夢はぶれない。そんな受験生を最後まで応援します。勉強を通じて信念を貫く強い心を養っておけば、混迷を極める社会に出てからも、周囲に惑わされずに自分らしく堂々と生きることができるようになります。

本試験では予想外のことが起きます。その心の準備だけはしておきましょう。試験は誰にとっても不安です。日々を懸命に過ごすことだけに集中してください。
結果は後から必ずついてきます。