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2010年12月

2010年12月 3日 (金)

第184回 原点

今、政治が混迷しています。尖閣諸島漁船衝突、北方領土、北朝鮮砲撃、TPP、法相辞任、企業団体献金受け取り再開、八ッ場ダム中止方針撤回、沖縄県知事選などすぐに思いつくものだけでもいくつもの内政外交問題が山積みです。

内閣支持率が50%を超えているときにはマスコミも政府を持ち上げますが、50%を切るとどんどん批判し始め、30%を切ると叩けば叩くほど視聴率があがり、雑誌は売れるらしいので、マスコミと失策の相乗効果でどんどん支持率が下がります。

こうした政治の姿を見ていて、つくづく原理原則が重要だと思わざるをえません。
何のために政権交代をしたのか、当初の理念は何だったのか、そうした原点に帰って筋を通すことが、反対意見があったとしても議論によって物事を先に進めていく民主政治においては重要なことだからです。

その原点が憲法に書いてあります。鳩山前首相は友愛を掲げました。私はこれを市場経済原理に対して人権の原理をもう一つの軸として掲げたものと理解していました。

それは経済の競争原理に対して勝ち負けとは無縁の人権、効率性を重視して結果がすべての経済原理に対して過程も重視する人権です。つまり人間性を回復すること、人間は何かの目的のための手段として存在しているのではなく、その存在自体に価値があるという「個人の尊重」(憲法13条)そのものを真正面から基本原理として認めるということです。そして、自立した個人、自立した政治、自立した国家を目指そうとする原点です。

それらの理想が現実の前に次々と崩れていきました。議会制民主主義は妥協が本質ですから、現実に妥協する必要性は否定しません。しかし、徹底した議論によって妥協点を探ることが不可欠です。それなくしてはなんの説得力もありません。
何が正しいかわからない問題について、自分の価値観に基づいて自分の頭で考えて決断を下す。そしてその結論を事実と論理と言葉で説得することを徹底して行ってこそ政治です。

これはいつも法律を使って仕事をすることの原点だと皆さんにお話ししていることです。当たり前のことですが、政治も憲法と法律に基づいて運営されますから、法律実務家と同じ力が求められるのです。

自分たちの原点は何か、迷いが生じたときには、常に自分の原点に立ち戻って考えることが重要です。受験生の原点は何でしょうか。合格後を見据えて勉強することです。懸命に勉強していますか。ある旧司法試験(合格率0.3%です)の現役合格者がこんなことを言ってくれました。

――昨年、自分と同年齢の合格者の「自分はけっして天才ではないが、2年間で日本一勉強したのは自分だと思えるくらい勉強したつもりです」という体験記を読んで、甘えていた自分に涙が出るくらい悔しい思いをした。自分もせめて1年だけは日本一勉強したと思えるくらい勉強しようと思い、合格した今そう言える自信がある。テキストを何度読んでも忘れるばかりだけれど、志を高く持ち続ければたとえ何%の試験であっても合格することができる。――

誰もが時間がない、すぐに忘れてしまう、理解が遅い等々、様々な不安や不自由を抱えて勉強しています。勉強方法に迷ったり将来を不安に思ったりします。ですが、そんなときこそ、受験生はできる限りの勉強をするものだという原点に戻ってやるべきことを必死でやっているかを確認してください。そもそも何のために法律家や行政官になろうとしたのかという原点を再確認してください。

憲法価値を実現して人の役に立つために法律家や行政官になる、そのために勉強するのだという原点を忘れずに頑張ってほしいと思います。