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2011年4月

2011年4月 4日 (月)

第188回 今私たちにできること

これだけ大きな地震、津波そして原発事故が東北、関東を襲うとは思いもかけないことでした。想像を絶する数の犠牲者のみならず、未だ出口も見えず不安で困難な生活を強いられている被災者の方々を目にして自然の恐ろしさ、人間の無力さを改めて思い知ります。それとともに放射能汚染、停電の危険にさらされ、買い占めなどの無益な行動の報道に接すると、想定されたことへの対処を怠った人間の愚かさへの怒りと、情報に振り回される人間の弱さへの絶望もぬぐいきれません。

しかし、一方でこうした状況の下でも懸命に生き抜こうと日々の困難に立ち向かっている現場の方々の献身を知るたびに、人間の強さ、復興への希望の重要性を再認識します。被災した塾生も多数います。少し落ち着いてきた段階で、勉強のことを考える余裕ができたら、ぜひ連絡をください。1人1人の状況に応じた最大限の支援をさせていただきます。法律家、行政官を目指して勉強してきた皆さんには、困難をプラスに変える力があるはずです。最後まで応援しています。

未だ不安を拭いきれず、また、自分に何ができるかと考えて歯がゆくてしかたがない人もいることでしょう。しかし、いつもどおりでいることも重要な支援になります。こういうときこそ、それぞれが自分の役割を果たすことが求められます。
焦ったり慌てたりして自分の本分を忘れてしまうことが何よりもよくないことです。

授業でいつも、法律家には少数派、弱者へのイマジネーション、共感力が重要だと言い続けてきました。ただ、ここでイマジネーション、共感力を発揮するとは、当事者と同化してしまうことではありません。気持ちで寄り添い、共感しようとしたとしても、完全に当事者の苦しみや悲しみを理解することはできません。当事者に心を寄せつつも、感情に流されるのではなく、あくまでも自分の役割を果たして力になるという冷静さが法律家には必要なのです。

卒業式、入学式などのイベントがなくなったりして、震災による自粛ムードに流されているといつまでも気持ちに決着がつけられず、ある種の不安を引きずってしまいます。この状況を勉強に集中できない言い訳にしてはなりません。住んでいる地域によってかなりの温度差があるとは思いますが、気持ちを切り替えて勉強に専念してください。困難なときこそ人の真価が発揮されます。勉強できるだけでどんなに幸せなことか、その環境に感謝しつつ精一杯、頑張ってださい。

今回の震災もそうですが、他人事が一気に自分事になるきっかけがあります。私にとっては1人1票もそうでした。自分の1票は1票の価値がない、0.43票しかないと気づいたときに一気にこの問題が自分事になりました。

先月23日に最高裁大法廷判決がありましたが、50点の判決です。衆議院選挙でこれまで最高裁は3倍を超えると違憲と言ってきましたが、それが2.3倍でも違憲と判断した点では画期的です。しかし、多数意見の考え方は従来どおりで、1人1票を認めた判事は3人しかいませんでした。

この問題が国家統治の根幹に関わるもので、この国の行く末を決定づけるほどの重要な問題なのだという危機感がまるで感じられません。次回の国民審査対象判事は7人ですが、私は須藤正彦判事以外の6人に「×」をつけます。最高裁判事には主権者たる国民の監視の下にあるのだという緊張感を持ってもらわなければなりません。1人1票という民主主義の根幹に賛成しない不適格な最高裁判事を退場させることも国民の役割なのです。

今まさに、それぞれが各自の役割を果たすことが求められています。