« 2011年4月 | メイン | 2011年6月 »

2011年5月

2011年5月 3日 (火)

第189回 桜と蓮

東日本大震災やその後の原発騒動を全く知らないかのように、渋谷の伊藤塾の前では例年どおり美しい桜が咲きました。各地の桜が少しでも被災された方々の慰めになればと思うばかりです。

今回の原発事故をめぐる一番の不正義は、電力の恩恵を受ける都民がそのリスクを負担していないことにあると思っています。必要な施設だからどこかに置かなければならない。しかし、絶対に安全とはいえないから都会ではなく福島につくる。そして地元の人々には安全だといいながらお金をばらまく。これはどこかで聞いたような話です。そうです。米軍基地です。普天間移設問題もまったく同じ構造です。

残念ながらフクシマがヒロシマと並んで世界語になってしまいましたが、フテンマ、フクシマと迷惑施設を弱い地域に押しつける理不尽さに腹が立って仕方がありません。原発がどうしても必要だというのならば、そのリスクは皆で平等に負担するべきでしょう。少なくとも利益を享受する者がそのリスクを負担しなければフェアではないでしょう。

本当に必要ならば原発も造り続ければいい。しかし、それはリスクも同時に引き受ける覚悟をもって造り続けるのでなければおかしい。人間が造るものですから絶対に安全ということはありえません。必ずリスクを伴います。ですが、それでもそのリスクを上回るメリットがあると考えるのであればリスクを引き受けて造ればいい。しかし、そこではメリットとリスクが対応していないと理不尽です。
リスクを承知の上で東京湾に原発を造る覚悟がない人には原発推進といってほしくない。

15年前の明日の法律家講座第11回で、原発を現場で見てきた故・平井憲夫さんの講演を聴きました。
設計上は安全でも施工によってまったく変わってしまう現実、危険性を直視しないことの危険性などさまざまな問題が山積みであることを知りました。こうした現場からの告発はでっちあげと一蹴されてきました。リスクを直視しないことは個人の自由ですが、自分たちでリスクも引き受けてこそメリットを享受できる資格があるというものです。

試験もそうです。絶対に受かる保証などどこにもない。でもそのリスクを承知の上で、合格したあとの活躍に希望をもって努力するのです。これを無謀だという人もいるでしょう。しかし、自分の人生を自分で選択して自分でリスクを引き受けて挑戦することほどフェアで勇気のある生き方はありません。

この春、私も新しいことに挑戦します。ベトナム料理、フォーの店を渋谷に開店します。現地調査と試行錯誤を繰り返し、他にはない本物志向のすばらしい味を出せたと思います。ここで日本にいるベトナム人学生の支援とベトナムとの異文化交流が実現できればと思っています。ベトナム国花の蓮で作ったおいしい蓮茶も飲めます。もちろん、うまくいく保証などどこにもありません。ですが、挑戦してみなければ何も学べませんし先にも進めません。リスクのない挑戦などありえないのですから、頑張ってみます。

今年から司法試験予備試験が始まります。どのような試験になるのか、何人合格するかもわかりません。誰もが不安の中で初挑戦します。リスクをとらずに成功することはあり得ないのですから、今年、挑戦する受験生はそれだけで一歩進んでいるのです。

司法試験受験生も今年初挑戦という人、昨年のリベンジの人、もう後がないという人までさまざまでしょう。状況は違っても高い志のためにリスクを承知でこの世界に入り、ベストを尽くそうとしている点では同じです。それは気高い行為です。自信と誇りをもって挑戦してほしいと思います。

ロースクール、司法書士、公務員それぞれの受験生もいよいよ最後の追い込みです。震災の影響でなかなかペースをつかめない人もまだいることでしょう。今年受験できること自体に感謝しつつ、最後まで絶対に諦めることなく頑張ってほしい。最後まで応援しています。私も挑戦しつづけます。

-------------------------------------------------------------------
【関連リンク】明日の法律家講座 第11回 故・平井憲夫氏による「隠されていた真実~ここが危ない日本の原発~ 」(1996/10/12実施分) 無料ストリーミングにて、6/30(木)まで期間限定配信中!