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2012年4月 3日 (火)

第200回 記憶

先日、2冊ほど本を出しました。「“司法試験流” 勉強のセオリー」(NHK出版新書/2012年4月10日発売)と「記憶する技術」(サンマーク出版)です。(※下段参照)
「勉強のセオリー」の方は、Eテレ「仕事学のすすめ」のテキストを大幅に改訂したものです。ゴールからの発想をさまざまな勉強やビジネスに役立ててもらえるヒントが満載です。
この雑感でも何度か触れましたが、司法試験の勉強方法は本当にいろいろな分野の仕事に役立てることができます。
実際に法律家や行政官として実務についてから、その真価がより発揮されるに違いありません。ぜひ読んでみてください。

もう1冊の「記憶する技術」は、はじめに出版社から記憶術の本を書いてもらえないかと依頼を受けたときにはお断りしようと思っていたものです。自分は特に記憶力がいい方ではないし、司法試験の受験指導をしている自分が記憶術の本を書くと、あたかも司法試験は記憶力の勝負と勘違いされてしまいそうでまずいと考えたのです。

ですが、これまで記憶力に関して実践してきた工夫をまとめて紹介することも意味があると思い直しました。
さらに記憶に関して、実は苦労もしてきたので、それを紹介できればと思うに至りました。
その苦労とは、もちろん覚えては忘れてしまうという苦労もあるのですが、それ以上に、記憶を消し去る、つまり忘れることができずに苦しんだ自分を乗り越えた経験があるので、忘れる力も含めて記憶について書いてみようと思ったのです。

記憶力がいいからといって必ずしも幸せになるわけではありません。
単に記憶の量を増やすだけではなく、よい記憶を残し、悪い記憶を消し去る、つまり記憶を自在にコントロールする技術を身につけると、とても楽に幸せに生きることができます。
記憶の本質をたどってみると、いろいろな新たな気づきがあります。たとえば、記憶と思考は車の両輪のようにどちらも同じくらいに大切と思っていました。ですが、記憶がなければ考えることもできない、記憶の回路が少し混線することで新たな発想やひらめきが生まれるということを知ると、記憶こそがすべての源泉だとわかってきます。

私たちが生きること自体が実は、記憶の集積だったということに気づきました。
何を食べてどのように生活するのが安全かもすべて記憶に頼っています。
自分らしさも実は、どんなときにどんな行動をするかを記憶しているから生まれるものに他ならないし、どんなときにどんな表情をするのかも記憶の賜物です。
人柄というのは、その人の記憶のデータベースの量とそれを適切に引き出せるかというアウトプットにかかっているのです。自分が幸せになるために記憶をコントロールする技術を身につければ、つまり何を記憶し、何をどんなときに引き出し、そして意味のない記憶をどうやって消し去るのかを知っておけば、自分の人生を主体的にコントロールすることができるようになるのです。

記憶とは何をどれだけ覚えたかという量の問題ではありません。
記憶から何を学び、それをどう生かすのかという生き方の問題です。皆さんも勉強を続けている過程で、必ず記憶で苦しむことがあると思います。また、試験に合格した後も別の道に進んだ後も、悪意に満ちた言葉に傷ついたり、つらい過去の記憶に縛られたりして前に進めないことがあるかもしれません。そんなときのために今から少しずつ記憶をコントロールする技術を身につけておくことが大切です。法律の勉強をする中で法律以外にも多くのことを学びとっていくことができるのです。

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記憶する技術

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“司法試験流” 勉強のセオリー

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