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2014年7月

2014年7月 2日 (水)

第227回 再び集団的自衛権

とうとう安倍政権は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしてしまいそうです。
この雑感が発表されるころには、首相の自信に満ちた記者会見も行われてしまっているのでしょう。また、公明党幹部の、解釈変更に何の問題もないかのような開き直ったコメントも発表されているのでしょう。はじめから結論ありきで、自公政権による茶番劇を見せられているかのようです。私たちは、自民党の憲法無視の体質、公明党の平和の党を名乗る欺瞞を決して忘れてはならないと思います。

2012年4月に自民党は憲法改正草案を発表しました。そこには国防軍の創設が規定されていました。もちろん集団的自衛権容認が前提となっている正規軍です。また、第一次安倍内閣のときには、教育基本法を改正して愛国心教育を行えるようにし、防衛庁を防衛省に格上げし、憲法改正国民投票法を強硬採決で成立させています。その経緯を見れば、第二次安倍内閣が何をゴールとしてめざすのかは容易に想定できることでした。

安倍内閣はマイナンバー制度を創設して国民のプライバシーを政府が管理する基盤を作り、秘密保護法によって国民に与える情報を国が統制できる仕組みを作り、安全保障政策の決定に現役の自衛官が重要な役割を果たす仕組みも作り上げました。憲法の明文改正を容易にするためにまずは96条の改正要件を緩和する改憲から手をつけようとしましたが、国民の反対にあって断念したあとは、正規の手続きを踏むことなく、憲法を骨抜きにしていく解釈変更の道へと舵を切ります。

まともな法律家ならば考えもしない、砂川事件を集団的自衛権の行使の根拠として持ち出して揺さぶりをかけ、また、民主的正統性のまったくない私的懇談会の報告を尊重しながら、公明党を巻き込んで憲法解釈変更を強行しました。

今回の閣議決定において、我が国の自衛権の発動要件を、これまでの「我が国に対する武力攻撃が発生した」場合に限らず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合をも加えました。この「明白な危険」の有無は時々の政権が判断するのですから、実は何の歯止めにもなっていません。
結局、どんなに言葉で取り繕おうが、日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、海外で武力行使することを認めることになるのです。これまでの憲法解釈では絶対に認められなかったことが、密室での与党協議そして閣議決定だけで容認されてしまうのです。

これでは憲法が何のために存在するのかわかりません。何の歯止めとしても機能しない憲法9条はその存在意義を失います。つまり憲法の破壊です。もちろん、閣議決定だけでは現実に集団的自衛権の行使が可能となるわけではありません。自衛隊法などの個別法の改正が必要となります。その際の国会での論戦でどの政党が何を主張し、どの議員がどのような発言をするのかを国民はしっかりと監視しておかなければなりません。

自民公明両党の中にも良識ある議員がいますから、法案には反対するかもしれません。党議拘束をかけられても反対する気骨のある議員もいるかもしれません。国民はこれからも声を上げ続け、しっかりと監視していく。これが主権者としての責任だと思います。
法律家を目指す前にまず国民としての責任を果たす必要があるはずです。次の選挙において選挙権を行使できる人が大半だと思います。
憲法を知ってしまった者としての真価が問われます。