2019年6月24日 (月)

<学習コラム④>消費税増税と「合成の誤謬」

★過去の学習コラム <学習コラム①> <学習コラム②> <学習コラム③>

<学習コラム>消費税増税と「合成の誤謬」19/6/12メルマガ「公務員の道標」より

2019年の10月に消費税が10%に引き上がる予定ですが、その際に国民が倹約のために消費を減らす可能性が高く、不況をもたらす恐れがあります。このため政府が景気対策に躍起になっていることは、みなさんもニュース等でご存じでしょう。

経済学には、「合成の誤謬(ごびゅう)」という理論があります。 「合成の誤謬」とは、個人レベルでは正しい行動が、社会全体では好ましくない結果をもたらしてしまうということを意味しています。

例えば増税時に、個人が倹約のために消費を減らして貯蓄を増やそうとする行動は、個人レベルでは全く正しい行動のように思えます(道徳では、倹約を奨励しています)。

しかしこのような行動は、社会全体では消費を減らし、企業の売り上げを減少させることにより雇用を減少させ、不況をもたらしてしまいます。(次回に続く)

<学習コラム>消費税増税と「合成の誤謬」② 19/6/19メルマガ「公務員の道標」より 消費税増税時に、個人が倹約のために消費を減らして貯蓄を増やそうとする行動は、社会全体では不況をもたらしてしまいます。この「合成の誤謬(ごびゅう)」について理論的に説明しましょう。 図は横軸に国民の所得Y、縦軸に企業の投資I、家計の貯蓄Sを取っています。

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当初、経済は、投資Iと貯蓄Sが等しくなる点Eで均衡し、国民の所得がYに決定していたとします。ここで人々が倹約のために消費を減らして貯蓄を増やそうとすると、貯蓄曲線Sが上方シフトしてS′となります。すると経済の均衡点は点E′に変化して国民の所得がY′に減少し、不況が生じてしまうことが分かります。(次回に続く)

担当:青野 覚 講師(経済系担当)

2019年6月 6日 (木)

「面接試験について」

今回は、面接試験において気をつけてほしいポイントについて述べてみます。近年では、試験全体に占める面接試験の比重が高まってきているので、皆さんは、筆記試験の結果にかかわらず、以下のポイントについて気をつけておいてください。

まずは、面接カードの完成です。志望動機や今までやってきたことなどを書くわけですが、「より具体的に、苦労点・工夫点を盛り込みながら書く」ということを強く意識してください。あいまいにしておいて面接官に聞いてもらおうという作戦は、聞いてもらえなかったら終わりなので、やめておいた方が無難です(なお、「具体的に書け」という指示がある場合は、明らかにそれに反するので、あいまい作戦は絶対にダメ)。

次に、なるべく「会話」として面接が進むよう、意識してください。確かに、受験生は面接で試されています。しかし、それは「一緒に働く同僚・後輩たりうるか」という点で試されているのであって、あまりに「自分の全てが試されている」と構えてしまうのは良くないと思います。自分のいいところがたくさん伝わるように、「会話」していきましょう。

そして、この点を最後に強調しておきますが、「やる気」です。どんなに人格的にすばらしい人であっても、公務員としての「やる気」を見せなければ、やはり面接試験では良い結果は出ないでしょう。公務員として何をなすべきか、それをなすことによってどのような社会等をつくっていきたいのか、それらをぜひ強く訴えてほしいと思います。

2019年6月6日 松田圭介講師(行政系担当)

2019年5月28日 (火)

最近の自然科学系の大きなニュース

こんにちは。辻です。最近の自然科学系の大きなニュースといえば、なんといっても『史上初!ブラックホールの撮影に成功!!』ですね。みなさんも、新聞やネットニュースなどで、線香花火の残り火のような、中央が黒くて、周囲がオレンジ色に淡く光る玉の写真をご覧になったのではないでしょうか。

その内容を要約すると、2019年4月11日、国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が、5500万年光年彼方の銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールを撮影することに史上初めて成功したというものでした。

ブラックホールは太陽の質量の30倍以上ある恒星が超新星爆発を起こした後の姿で、その強い重力のために光も脱出することができないという性質をもちます。アインシュタインの相対性理論からその存在が予測され、これまでの観測でその存在を裏付ける証拠も数多くありましたが、これまで実際にその姿がとらえられたことはありませんでした。

ブラックホールに光がある距離よりも近づくと、光はブラックホールの重力にとらえられ、やがて吸い込まれてしまいます。その距離よりも遠い位置を通過する光は進行方向が曲げられ、本来は地球に届かない光も地球に届くようになります。そのとき、光がやってこない内側の一定範囲は暗く見える。この現象を「ブラックホールシャドウ」と呼び、その姿がとらえられるはずと考えられてきました。

今回の撮影は、世界13カ国200人以上の研究者からなるEHTが地球上6ヶ所にある8つの電波望遠鏡を同期させることで、人間の視力の300万倍に相当する解像度を達成し、このシステムを利用して地球から約5500万光年彼方にある、おとめ座方向の巨大楕円銀河M87の中心部に安定的に存在する光に取り囲まれた黒い丸を発見したのです。数々の検証を行った結果、これが間違いなくブラックシャドウであると確認され、その結果、史上初のブラックホールシャドウの撮影に成功したのです!

ブラックホールシャドウの大きさは1000億km(太陽~海王星の約22倍)とされていて、ブラックホール本体の大きさは、400億kmと推測されています。ブラックホールの質量はなんと太陽の約65億倍と見積もられているのです。

うーん、なんともスケールの大きな話ですよね。「M87」なんて聞くとウルトラマンの生まれ故郷である「M78星雲」をつい思い出してしまうのですが…(笑)もっともウルトラマンの生まれがブラックホールだとしたら、さすがのウルトラマンも地球に来ることはできないと思いますが…。

今回の偉業がどれほどのものか、今から114年前に相対性理論を発表した(このとき若干26歳!)アインシュタインにその感想を聞いてみたいものです。

2019月5月28日 辻利通講師 (数的処理・自然科学分野担当)

<学習コラム③>英国のEU離脱と「国際金融のトリレンマ」

★過去の学習コラム

<学習コラム①> <学習コラム②>

<学習コラム>英国のEU離脱と「国際金融のトリレンマ」19/5/8メルマガ「公務員の道標」より

皆さんは英国のEU離脱問題についてニュース等でご存じでしょう。 なぜ英国は、国民投票でEU離脱を決めたのでしょう。

英国のEU離脱の裏には、「国際金融のトリレンマ」という理論がかかわっています。 そこで今回はこの「国際金融のトリレンマ」と英国のEU離脱について説明しましょう。

「国際金融のトリレンマ」とは、①グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)、②為替(通貨価値)の安定、③独立した金融政策のうち、2つまでは達成可能であるが、3つを同時に達成することは不可能であるという理論です。

この「国際金融のトリレンマ」という理論を前提に、EU(欧州連合)は、①グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)と②為替(通貨価値)の安定を重視し、③独立した金融政策を加盟各国は放棄しています。

<学習コラム>英国のEU離脱と「国際金融のトリレンマ2」19/5/22メルマガ「公務員の道標」より

EU(欧州連合)は、①グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)と②為替(通貨価値)の安定を重視しています。

まずEUでは、加盟国間でのグローバリゼーション(人、物、金の自由移動)が原則です。加盟各国では国境での税関検査等がなく、簡単なチェックかノーチェックで国境を越えることが可能です。また通貨統合により、各国は共通通貨ユーロを用いて通貨価値の安定を行っています。

よって「国際金融のトリレンマ」の理論より③独立した金融政策は理論的に不可能であるため、加盟各国は独自の金融政策を放棄し、金融政策はEUの中央銀行(ECB)が一括して行っています。

すなわち加盟各国は、自国の景気対策のために独立した金融政策が実施できないのです。なお日本は、①グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)と③独立した金融政策を重視し、②為替(通貨価値)の安定を事実上放棄しています。ニュースでご存じだと思いますが、日本の為替レートは毎日変動しています。

<学習コラム>英国のEU離脱と「国際金融のトリレンマ3」19/5/29メルマガ「公務員の道標」より

EU(欧州連合)は、1999年に通貨統合を行いました。 しかし英国は、独立した金融政策は国家主権にかかわる問題であるとして、通貨統合を拒否して共通通貨ユーロを使用せず、独自の通貨ポンドと独自の金融政策を維持しました。 このように以前から英国はEUの方針に異議を唱えていたのです。 EU側としては、通貨統合を拒否しても、グローバリゼーションを受け入れる限り、英国をEUに参加させるメリットがあったのです。フランスとドイツは、将来的に国家主権を放棄し、欧州合衆国を創設することを究極の目標としています。しかし英国は最初から国家主権を放棄するつもりはないようです。  今回の英国のEU離脱は、グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)に反対したのがきっかけです。EUは大量の難民を受け入れてきました。またEUは、EU拡大を推し進め、多くの貧しい東欧諸国をEUに加盟させました。これらの難民や東欧諸国の貧しい国民が英国に流入してイギリス人の雇用を奪ったり、治安の悪化が生じるのを心配して、イギリス国民はEU離脱を決意したのです。英国でもアメリカと同様に、失業問題から保護主義的な動きが生じているといえます。(次回につづく)

<学習コラム>英国のEU離脱と「国際金融のトリレンマ4」19/6/5メルマガ「公務員の道標」より

英国はEU(欧州連合)が重視する2つの主要な政策である①グローバリゼーション(人、物、金の自由移動)と②為替(通貨価値)の安定の両方を拒否しました。 EU側としても、重要な2つの政策とも拒否した英国をEUに留めるメリットがありません。このような理由から英国のEU離脱が決まったと考えられます。

 英国は歴史的に大陸ヨーロッパとは異なる政策を行ってきましたが、この英国のEU離脱が経済に与える影響は大きいでしょう。英国のEU離脱は、他のEU諸国との自由貿易、自由競争を阻害することからマイナスの影響が大きいと思います。実際に日本を含む多くの外国企業(ホンダや日産等)が英国から撤退をすでに始めています。アメリカと同様に保護主義的な動きは、短期的には英国国民の雇用を確保したとしても、長期的には英国の経済力を衰退させ、英国国民の雇用を減少させてしまうでしょう。

これは他人事ではなく、日本もTPP11に代表される自由貿易を推進していけば、衰退産業での失業問題に直面することになります。このときに適切に失業対策に取り組まなければ、日本でも保護主義的な動きが生じる可能性があるでしょう。

担当:青野 覚 講師(経済系担当)

2019年5月27日 (月)

2018年度・国家総合職・教養区分試験における人文科学の分野の出題分析

人文科学担当の坂本です。今回は、昨年実施された「国家総合職・教養区分試験」における人文科学の分野の出題分析を行います。

昨年の教養区分試験では、例年とは異なり、日本史2、世界史2、地理2、思想2に加えて、文学・芸術の分野から1問出題されました。今年も、このように文学・芸術の分野から1問出題される可能性はありますが、例年のように、思想が3問という形に戻る可能性もあると考えられます。まだ、試験まで時間的余裕がありますので、文学・芸術の分野に関しても一定の準備をしておくことをお勧めします。

以下で、それぞれの分野の出題の分析を行いますので、今後の学習の参考にしてください。

  • 日本史

    • 江戸時代の政治に関する記述として最も妥当なのはどれか。 常識的な問題であり、テキストの太字部分を憶えておけば容易に解くことができた。
    • 明治時代から昭和時代初期までの我が国に関する記述として最も妥当なのはどれか。 ほとんどがテキストの太字(ゴシック)レベルの知識で解ける内容だったが、治安警察法など、一部、やや細かいところまで出題された。
  • 世界史

    • 7 世紀から 19 世紀にかけての英国に関する記述として最も妥当なのはどれか。 常識的な問題であり、テキストの太字部分を憶えておけば容易に解くことができた。
    • オスマン帝国に関する記述として最も妥当なのはどれか。 受験生の盲点になりがちな分野から、かなり細かいところまで尋ねられた。特に、大学入試の際、世界史を選ばなかった者にとっては難問であった。
  • 地理

    • ケッペンの気候区分に関する記述として最も妥当なのはどれか。 常識的な問題であり、テキストの太字部分を憶えておけば容易に解くことができた。
    • 世界の諸地域の生活や文化に関する記述として最も妥当なのはどれか。 インドネシアの食料自給率やサンバの成立など、細かいところまで尋ねられ、大学入試の際、地理を選ばなかった者にとってはかなり難しかった。
  • 思想

    • 我が国の思想家に関する記述として最も妥当なのはどれか。 吉田松陰についてはやや細かい内容が尋ねられたが、それ以外の思想家については、テキストの記述を憶えておけば解くことができた。
    • 中国思想に関する記述として最も妥当なのはどれか。 常識的な問題で、テキストの太字部分を憶えておけば容易に解くことができた。
  • 文学・芸術

    • 絵画等に関する記述として最も妥当なのはどれか。 絵画の技法史に関する問題であり、絵画についてのかなり高度な知識が求められる難問だった。受験者の正答率が相当低いと予想される。

2019年5月27日 坂本正彦講師 (人文科学担当)

2019年5月13日 (月)

<学習コラム②>自由貿易vs保護貿易

<学習コラム①>からご覧いただくとより理解しやすいです。

<自由貿易vs保護貿易~自由貿易での失業対策の困難さ①~> 19/4/17メルマガ「公務員の道標」より

社会を豊かにしていくためには自由貿易が必要ですが、自由貿易での失業対策には困難な点があります。 

例えばアメリカでは、自由貿易により自動車産業等の製造業が衰退して失業者が生じてしまいました。 このような人々を競争力のあるIT産業等に転職させる必要があります。 よって新たにIT技術に対する知識を失業者に習得させるための職業教育が必要となります。 若い人や大卒等の学歴の高い人は、IT技術の習得に熱心であり、比較的容易に転職が可能です。 しかし年齢の高い失業者は、いまさら馴染みのない新しい知識の学習に苦痛を感じてなかなか転職がうまくいきません。

あるいはIT技術の習得には大学レベルの知識が必要であり、高卒の失業者は難しくて習得が困難です。実際にアメリカで自由貿易に反対している失業者の多くは、30歳以上や高卒です。

<自由貿易vs保護貿易~自由貿易での失業対策の困難さ②~> 19/4/24メルマガ「公務員の道標」より

日本でも今後市場経済及び自由貿易を推進していけば、アメリカと同様の問題が生じるため、失業対策をしっかり行う必要があるでしょう。

例えば自由競争の結果、AI(人工知能)が進歩して自動運転が普及すれば、タクシーやバスの運転手は職を失うでしょう。これらの失業者を競争力のある産業に再就職させなければ、社会不安が増大してしまうでしょう。

よって自由貿易の推進には、失業対策(雇用対策)が不可欠であることを認識する必要があります。近年のアメリカや英国等の保護主義的動きは、すべて失業対策が不十分であったことから引き起こされているのです。

以上を踏まえたうえで、皆さんは日本が自由貿易と保護貿易のどちらを推進すべきと考えますか?最終的には正しい知識の下で、国民が民主主義的な方法により選択すべき問題でしょう。

<自由貿易vs保護貿易~貧困や失業は個人責任問題なのか~> 19/5/1メルマガ「公務員の道標」より

特定の政治家やテレビのコメンテータが、「貧困や失業は本人が努力しないからであり、完全に個人責任の問題なので、政府(社会)が税金で対策を講じる必要はない。」というような発言をしているのを時々見かけます。はたしてこれは正しいでしょうか。

経済を活性化させてイノベーション(技術革新)を促進し社会を豊かにしていくためには、市場経済や自由貿易で競争を促進させる必要があり、日本社会は市場経済や自由貿易を推進しています。

この市場経済や自由貿易は、そのシステム自体に失業や貧困を生み出してしまうという問題点を内包しています。よって貧困や失業に苦しんでいる人々は、いわば市場経済や自由貿易の犠牲者と考えられます。

<自由貿易vs保護貿易~貧困や失業は個人責任問題なのか②~> 19/5/8メルマガ「公務員の道標」より

われわれ国民が民主主義のもとで失業や貧困を生みだす問題点のある経済システム(市場経済、自由貿易)を採用している以上、社会全体がこのシステムの犠牲者のために責任を持って対策を講じる責務があるのではないでしょうか。 特に経済システム(市場経済や自由貿易)の恩恵を受けて豊かな暮らしを享受している高所得者から税金を徴収し、その税収で経済システムの犠牲者である貧困者や失業者への対策をしっかり実施することが公正・正義ではないでしょうか。

たしかに世の中には社会の仕組みを悪用し、何の努力もせずに生活保護等で楽に暮らしている人々がいることは事実です。しかしこれはごく一部であり、大部分の人々は一生けん命努力しても、市場経済システムでは貧困や失業から抜け出せないでいます。これは、市場経済や自由貿易に内包された社会問題なのです。決して自己責任の問題ではありません。

知識を身につけなければ、誤った判断をして、社会を混乱させてしまうでしょう。政策を企画立案する行政官は、しっかり知識を身につけて、何が正しく何が誤っているのか自分で判断できるようにすべきでしょう。 次回は英国のEU離脱について考えたいと思います。

経済担当講師 青野 覚 講師

2019年5月 8日 (水)

「不安を広げないこと」について

2019年も、主要な公務員試験が始まりました。この時期、多くの受験生が不安だらけです。 不安を感じない人は、勉強をあんまりやっていない人か、超超超大物です。試験とちゃんと向き合っている以上、不安なのはあたりまえです。不安をゼロにする魔法なんてないので、不安があることを認めた上で、不安と上手にお付き合いすることを考えましょう。少なくとも「不安を大事にして、大きく育ててしまうこと」だけは避けましょう。つまり、不安を広げない努力をしましょう。

受験生の不安の典型は、①本試験の日まであとわずか、こんな調子では勉強や面接対策が終わらないと悩む、②以前に勉強した内容を忘れていることに気づいて愕然とするの2つです。

不安になる気持ちはわかりますが、①どんなに勉強しても、本試験の日までに勉強は終わりません。時間的・物理的に終わらせることは無理だからです。また、②人間は忘却の動物ですから、忘れるのはあたりまえです(忘れないと精神に異常をきたします)。 全範囲の勉強を終えている受験生も、勉強したことすべてを忘れずに覚えている受験生もいません。すべての科目が未完成のまま本試験の日を迎えるのです。全国の受験生みんな同じです。とすれば、試験は相対的な評価で合否が決まるのですから、①や②で必要以上に不安がったりあせったりしても意味がないということがわかります。

受験生には、覚えていないところや苦手なところが本試験で出題されたらまずいという不安・恐怖感があります。よって、どうしても、まだ勉強していない分野や覚えていない分野、苦手な分野にばかり目がいってしまい、これまでにやってきた勉強を軽視することになってしまいがちです。 しかし、「覚えていない細かい知識が気になる」→「不安だから覚えようとする」→「細かくて覚えきれない」→「さらに不安になる」→「覚えたはずの知識が不安であやふやになる・解けるはずの問題も不安で解けなくなる」・・・これは「不安を大事にして、大きく育ててしまうこと」になっている状態ではないでしょうか。 少なくとも「解けるはずの問題も不安で解けなくなる」のは、もったいないですよね。

優先順位をつけて、できることをたんたんと、コツコツ勉強していくこと。そして、これまでにやってきた勉強の復習・確認も忘れないこと。それしかありません。 不安をゼロにすることはできなくとも、自分で勝手に不安やあせりを広げることをやめることはできます。不安を広げない努力をすれば、少なくとも「解けるはずの問題も不安で解けなくなる」ことは避けられるはずです。 みなさんが、第一志望の試験に合格・採用されることを心から願っています。 祈!合格!!

2019年5月8日 内田太講師 (法律科目担当)

2019年4月29日 (月)

時事問題の出題予想

間もなく10連休、そして4月28日に国家総合職試験、5月5日には都庁Ⅰ類B、特別区Ⅰ類の試験が行われます。今回は時事問題の出題予想をしてみます。

<国家総合職>

例年No.28~No.30が「時事問題」です。No.38~40は「社会科学」という位置づけのようですが、中身はかなりの部分が時事です。総合職は「1つのテーマを掲げて、5つの出来事を盛り込む」という問題の作り方をする傾向があります。

過去2年の出題は以下の通り。

【平成30年】

  • No.28 「自動車産業」:就業人口、準天頂衛星、次世代自動車、燃料電池車、電気自動車
  • No.29 「雇用」:最低賃金、障害者雇用促進法、女性活躍推進法、完全失業率 など
  • No.30 「国際事情」:国際緊急援助隊、ODA、SDGs、北朝鮮制裁決議、EUとのEPA
  • No.38 「消費者保護の法律」
  • No.29 「高度情報化社会」
  • No.30 「近年の世界経済」

【平成29年】

  • No.28 「科学技術」:ヒトゲノム、ロボット、自動走行システム、フィンテック、AI
  • No.29 「法改正」:女性の再婚禁止期間、高齢ドライバー、取調べの可視化 など
  • No.30 「欧州諸国」:英国のEU離脱、フランスのテロ、ドイツ選挙の地震 など
  • No.38 「労働関係法」
  • No.29 「国際機構」
  • No.30 「我が国の財政政策、金融政策」

昨年は火山噴火、地震、大雨と続いたので、「災害」をテーマに知識を整理しましょう。「宇宙開発」あるいは本庶さんのノーベル賞も含めて「科学技術」、マイクロプラスチック、パリ協定実施ルール、商業捕鯨再開を含めて「環境」、潜伏キリシタン関連遺産、来訪神など「世界遺産事業」も押さえましょう。国際事情では、中国、北朝鮮、韓国とあと2国で「アジア」、ベネズエラ、メキシコ、ブラジル、コロンビア、アルゼンチンの「中南米」に注目すべきです。

<都庁Ⅰ類B、特別区Ⅰ類>

都庁は例年No.36~No.40が、特別区は選択解答のNo.37~No.40が「時事問題」です。両者の問題は似ています。どちらも「1つの出来事について、5つの選択肢で細かく聞く」という問題の作り方をする傾向があります。

過去2年の出題は以下の通り。

【平成30年:都庁】

  • No.36 「警察白書」(平成29年度)
  • No.37 「民法改正」(平成29年5月)
  • No.38 「G20 ハンブルク・サミットの首脳宣言」(平成29年7月)
  • No.39 「H28年参院選挙の合憲性判決」(平成29年9月)
  • No.40 「新しいけ材政策パッケージ」(平成29年12月)

【平成29年:都庁】

  • No.36 「経済財政白書」(平成28年度)
  • No.37 「ヨーロッパおよびアフリカ情勢」
  • No.38 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年12月)
  • No.39 「国民年金法の一部を改正する法律」(平成28年12月)
  • No.40 「平成29年度当初予算」(平成29年3月)

【平成30年:特別区】

  • No.37 「トランプ大統領のアジア歴訪」
  • No.38 「個人情報保護法の改正」(平成29年5月)
  • No.39 「平成30年度税制改正大綱」(平成29年12月)
  • No.40 「平成29年ノーベル文学賞」

【平成29年:特別区】

  • No.37 「アメリカ大統領選挙の結果」(平成28年11月)
  • No.38 「参議院議員選挙の結果」(平成28年7月)
  • No.39 「英国のEU離脱」
  • No.40 「世界遺産 ル・コルビュジェの建築作品」(平成28年7月)

毎年都庁で出題される白書ですが、「国土交通白書」「防衛白書」「防災白書」「子供若者白書」等が近年出題されていません。もっとも、読んで対策するというのは費用対効果が悪いのでお薦めしません。

法改正としては、「改正出入国管理法」、「働き方改革関連法」、「統合型リゾート実施法」を押さえましょう。「平成31年度当初予算」「平成31年度の税制改正大綱」「H29年衆院選挙の合憲性判決」(平成30年12月)もおさらいをしてください。

このほか「本庶さんのノーベル生理学・医学賞」「はやぶさ2」「パリ協定の実施ルール」「2018年の世界遺産」「北朝鮮を巡る情勢」「G7の首脳宣言」「G20の首脳宣言」などをしっかり詰めておきましょう。

2019年4月29日 相澤育朗講師 (行政系担当)

2019年4月23日 (火)

公務員試験の志願者減少

本年の公務員試験が本格的にスタートします。一次試験の主なものについて見ていくと、4月28日に国家総合職、5月5日に都庁Ⅰ類B(一般方式、新方式)及び特別区1類、同月11日に裁判所職員、6月9日に国家専門職、16日に国家一般職、23日に地方上級となっています。

これらの試験のうち、国家総合職、都庁、特別区については、試験日が迫っており、本年の志願者数が公表されています。

国家総合職/政治・国際区分1,166人(199人減)、/法律区分8,956人(1,009人減)、/経済区分1,778人(267人減)と、軒並み10%以上減少しています。

都庁Ⅰ類Bでは、そのうち一般方式3,198人(439人減)、新方式1,070人(180人減)、特別区Ⅰ類では、13,296人(1,702人減)となっています。

こうした現象の背景には、民間企業の採用が好調だということや、そのために学生の側もわざわざ苦労して勉強せずとも就職口を確保できそうだと考えているからと推測できそうです。そして、いわゆる“公務員人気”低下の要因は、特に、国家公務員が政治家、中でも政権与党、官邸の意向を忖度しなければ仕事を進められないのではないかと敏感に感じ取っているからではないかとも思います。 志願者数が多ければ多いほどよいなどと単純にはいうことができませんが、ここまで減少するとなると、果たしてこれでいいのだろうかと危惧します。

2020年以降を現時点で見通すのはむずかしい。

しかしながら、本年10月の消費税率引上げが実施されるとしたら、また2020年オリンピック・パラリンピック後のことを考えたら、「民間企業の採用は好調だろう」と安穏に構えてはいられないように思います。消費税率の引上げは、国民の暮らしを直撃することは間違いありませんし、オリ・パラ後の経済の落込みがすぐに回復するかどうかも予断を許さないように思います。そうなると、民間企業が採用予定者数を絞り込むこと、その反動で公務員を志向する者が増えるかもしれません。

2019年4月23日 柳原猛講師 (法律・行政系担当)

2019年4月17日 (水)

人文科学【国家総合職における出題予想】

いよいよ、試験が近づいてきました。今回は、私が担当する人文科学の、国家総合職における出題予想をしてみたいと思います。 今年も、昨年までの出題形式が踏襲され、思想、日本史、世界史、地理の4分野から全4問の出題という可能性が高いでしょう。

 まず、思想です。平成23年以降は、東洋-西洋というローテーションでいたが、この3年間は西洋思想が続いています。その点では、今年は、東洋思想が出題される可能性が高いでしょう。中国の思想家、日本の思想家をチェックしておいてください。

日本史では、戦中・戦後史がここ数年出題されていないので、要注意です。 世界史で、ここ数年、出題されていないのは、①中国近代史、②中世史です。 地理では、ここ数年、世界の土壌と農林水産業が出題されていません。 また、2019年は、以下の事項から100年目等の節目の年に当たるので、要チェックです。

ベルリンの壁崩壊(30年目:1989年)、中華人民共和国成立(70年目:1949年) 第二次世界大戦勃発(80年目:1939年)、 第一次世界大戦終結・パリ講和会議開催(100年目:1919年) 朝鮮半島で、三・一独立運動、中華民国で五・四運動(100年目:1919年) レオナルド・ダ・ヴィンチ没(500年目:1519年)

 以上になります。もちろん、ヤマを張るよりも、全般にわたって学習するのがよいのですが、自分が得点源と考えていない科目について、以上の項目だけでも憶えておけば、プラスになる可能性が高いと思います。

 体調に気を付けて、最後の追い込み、頑張ってください。  

2019年4月9日 坂本正彦講師 (人文科学担当)