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2020年1月

2020年1月27日 (月)

<学習コラム11>「法人税パラドックス」とはなにか。

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<学習コラム>「法人税パラドックス」とは何か① 20/1/22メルマガ「公務員の道標」より

近年、主要先進国で法人税の引き下げ競争が行われている中、「法人税バラドックス」という言葉が注目されています。今回はこの「法人税バラドックス」について説明したいと思います。

「法人税バラドックス」とは、法人税を減税しても、政府の法人税収が減少せず、むしろ増加する可能性すらあるとするものです。

実際に欧州諸国が1990年代以降、法人税の税率の引下げ競争を行いましたが、その後各国の法人税収は減少せずに安定的に推移しました。 なぜ法人税を減税しても政府の税収が減少しなかったのでしょうか。

この「法人税バラドックス」が生じる理由として、主に3つの原因があるとされています。


<学習コラム>「法人税パラドックス」とは何か② 20/1/29メルマガ「公務員の道標」より

まず法人税の減税は、海外企業誘致や企業の投資増加により景気が良くなるため、企業の利益が増加して、むしろ法人税収を増加させるとするものです。

1980年代にサプライサイド学派のラッファーが、「所得税を減税すると人々の労働意欲が高まり、むしろ所得税収が増加する」とする「ラッファーカーブ」を主張しましたが、これに類似しています。

現在、多くの専門家は、この「ラッファーカーブ」に否定的です。法人税減税は、すでに説明したように景気を良くする効果が期待できますので、それによる税収増が見込まれることは事実です。 しかし法人税の税率を引き下げた減収分のすべてを、これのみで相殺できる可能性は低いと考えられます。


<学習コラム>「法人税パラドックス」とは何か③ 20/2/5メルマガ「公務員の道標」より

次に法人税の引き下げを契機に、節税対策として個人事業主が法人化する「法人成り」が増加したためとされています。

これは個人事業主が所得税を払うより、法人を設立して法人税を支払った方が節税になるからです。この原因による法人税収の増加は、所得税収の減少と表裏一体となるため、政府の税収増とはなりません。

そして3つめに欧州各国は法人税の税率を引き下げる一方で、税収を確保するために課税ベースの拡大を同時に実施したため、税収が落ち込まなかったとされます。各国とも税金控除(例えば特定の損失を被った企業に税金を免除する等)などの特別措置を実施しています。税率の引き下げと同時にこのような特別措置を廃止して、いままで法人税を支払っていなかった法人にも課税するようにしたため、税収が落ち込まなかったとされます。


<学習コラム>「法人税パラドックス」とは何か④ 20/2/12メルマガ「公務員の道標」より

以上の3つの原因(①景気拡大による税収増、②法人成り、③課税ベースの拡大)により、欧州諸国では法人税を減税しても税収が低下しなかったため「法人税パラドックス」が生じたとされています。

近年日本で法人税が減税されていますが、この「法人税パラドックス」が日本でも生じるかどうかが注目されています。日本でも、景気対策としての法人税の減税を実施しつつ税収を確保するために同時に課税ベースの拡大を実施しています。例えば「外形標準課税」の拡大が行われました。法人税は、黒字の企業のみに課税されるため、赤字企業には非課税です。

しかし赤字企業でも、政府による各種行政サービス(防犯、防災、道路利用等)を受けているため、その行政サービスの対価として何らかの税金を支払うべきです。そこで2004年に導入されたのが外形標準課税であり、これは赤字企業も含めてすべての企業に一定額の課税を行うというものです(ただし中小企業には特別措置あり)。日本では、法人税の減税と同時にこの外形標準課税の拡大が実施され、課税ベースが拡大されました。

次回は企業の資金保有の増大について説明します。

担当:青野 覚 講師(経済系担当)

★過去の学習コラム

2020年1月 6日 (月)

副業・兼業をしている人の労災認定について

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2019年12月、厚生労働省は、副業・兼業をしている人について、本業以外の仕事をしている時間も含めて労働時間・残業時間をカウントし、労働災害の認定に用いる方針を発表しました。この件は、これまで労働政策審議会の労災保険部会で検討されてきましたが、今回上記の内容で合意に達しました。これを受けて、2020年の通常国会に労災保険法などの改正案が提出される見込みです。

もともと、副業・兼業については、多くの企業が認めていませんでした。というのも、本業の仕事がおろそかになるリスクや、情報漏えいが起こるリスクなどがあったためです。しかし、政府は、本格的に「働き方改革」を推進していく上で、現在副業・兼業を推奨しています。そうしたことも背景にしながら、副業・兼業をしている人や希望する人は増加傾向にあります。そこで今回、よりいっそうの労働者保護のために、従来合算していなかった副業・兼業の労働時間・残業時間も合算した上で労災認定を行おうという方針が出てきたわけです。

これは、確かに、働きすぎた労働者を救済する意味では良いことです。改善策であることは間違いありません。しかし、これはあくまで事後救済策であって、事前規制策ではありません。本来であれば、働きすぎ(=過労)そのものを規制すべきであり、今回の施策案はそれとはズレを感じさせるものとなっているように私は思います。

皆さんは、今回の施策案をどのように考えるでしょうか。一歩前進なのか、そうだともいえないのか。過労死が、「karoshi」として英語の辞書に載り、全世界的に知れ渡っている現在、今回の施策案について、ぜひ自分なりに考えてみてください。

2019年12月26日 松田圭介講師(行政系担当)