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2020年3月

2020年3月 9日 (月)

<学習コラム13>所得税は増税すべきか減税すべきか

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<学習コラム>所得税は増税すべきか減税すべきか① 20/3/4メルマガ「公務員の道標」より

日本では近年所得税の増税が行われました。

他方でアメリカやフランスでは所得税は減税されました。すでに、日本やアメリカ、フランスでの法人税の減税は、大企業(金持ち)優遇政策ではなく、経済を良くして国民(庶民)の所得増と雇用維持を目的とするものであることを説明しました。

今回は所得税は増税すべきか減税すべきかについて考えたいと思います。 実は理論的には、所得税は増税するべきとする考えと減税するべきとする考えの両方があります。

結論から先に述べると、所得格差を是正するには所得税を増税すべきであり、経済を活性化するには所得税は減税すべきとなります。 アメリカやフランスは、所得税を減税したため、経済の活性化を優先させたといえます。日本で所得税が増税されたのは、直接的には財政難(財源確保)からですが、結果として所得格差是正に貢献するでしょう。


<学習コラム>所得税は増税すべきか減税すべきか② 20/3/11メルマガ「公務員の道標」より

まず所得格差を是正するには所得税の増税(最高税率の引き上げ)が必要でしょう。

日本では近年所得格差が拡大して格差社会と呼ばれています。 格差社会の拡大は、日本だけではなく欧米でも生じています。このような所得格差を是正させるには、経済を活性化させて景気を良くして低所得者の所得増や雇用確保も必要です。しかしワーキング・プアーという言葉があるように、働いても貧しい状況が改善されないのが現実です。 よって格差を是正するには、高所得者に相応の税負担を課し、その税収で貧困対策の政策を実施することが不可欠となります。所得税は累進税(所得が高まると税率も高まる税)であるため、最高税率を高めることで、高所得者のみに増税を行うことが可能です。また同時に最低税率を引き下げて低所得者に対しては減税することも可能です。

このように所得格差の是正を政策目的にするならば、所得税の最高税率の引き上げ等の増税が必要となります。


<学習コラム>所得税は増税すべきか減税すべきか③ 20/3/18メルマガ「公務員の道標」より

次に経済の活性化のためには所得税の減税が必要であるとするサプライサイド学派の理論があります。すでに説明した法人税の減税も、経済を活性化させるためのサプライサイド政策でした。

所得税の減税に対しても、法人税減税と同様に減税分が投資に充てられることにより、同様に経済を活性化させる効果があるとサプライサイド学派は主張します。 また累進所得税は、人々の勤労意欲を阻害するため、好ましくないとも主張されます。 よって所得税を減税すれば、人々の勤労意欲が高まり、生産活動が活発になると主張します。 しかし個人的には企業に対する減税に比べると、個人への減税が経済に与える効果はさほど大きくないのではないかと考えています。 多くの経済学者も、その効果を疑問視しています。

よってサプライサイド政策は法人税(特に研究投資に対する)減税で対応し、やはり所得格差是正のために所得税は増税(最高税率の引き上げ)すべきだと個人的には考えています。


<学習コラム>所得税は増税すべきか減税すべきか④ 20/3/25メルマガ「公務員の道標」より

所得格差是正のために所得税の増税(最高税率の引き上げ)が必要だとしても、やりすぎはやはり経済に悪い影響を及ぼすでしょう。 例えば所得税の最高税率を70%~90%のように高くしすぎると、だれもリスクを冒してイノベーションを引き起こそうとしなくなるでしょう。

例えば若くして高所得者となった経営者たちは、安定的な大企業に就職せず、リスクを冒して起業し、イノベーションを起こして成功した人々です。 すなわち高所得は、リスクを冒して経済の活性化(イノベーション)に貢献したことに対する正当な報酬と考えられます。この報酬し対して過大な課税を行うと、リスクを冒すインセンティブが失われて、イノベーションが生じなくなり、経済が停滞する危険性があるのです。多くの人々がリスクを冒してチャレンジすることが、イノベーション(経済の活性化)には不可欠です。

よってリスクに対する正当な報酬(高所得)を認める必要があるのです。北朝鮮のような社会主義国は、この正当な報酬を認めないため、経済が停滞し、国民が貧しい状態になっていることを認識すべきです。(次回に続く)


<学習コラム>所得税は増税すべきか減税すべきか⑤ 20/4/1メルマガ「公務員の道標」より

日本の所得税の最高税率は、現在45%です。 これはまだ引き上げる余地があると考えられます。 経済に悪い影響を与えずに、所得格差を是正するためには、最高税率を50%~70%程度に引き上げても良いのではないかと個人的には思います。

しかし諸外国に比べて所得税の最高税率を高く引き上げてしまうと、イノベーションの担い手となる有能な人材が海外に流出する危険性があることに注意する必要があります。 現実に日本の有能な人材がすでに高い報酬目当てに中国等の海外に流出しています。 所得税の引上げはこれを促進する恐れがあります。

最後に指摘しておきたいことは、政治的な理由等で経済の活性化のための減税は頻繁に実施されるのですが、所得格差是正のための増税はなかなか実施されないということです。 経済の活性化のための政策は政界や財界の権力者の利益になりますが、所得格差是正のための政策はむしろこれらの権力者の不利益になる可能性があるからです。

経済政策は、政治と無縁ではないのです。 政治的に中立である行政官は、国の将来を良くしていくために、経済の活性化のための政策だけでなく、所得格差是正のための政策もしっかり企画立案すべきでしょう。 次回はふるさと納税の問題点について説明します。

担当:青野 覚 講師(経済系担当)

【過去記事】 <学習コラム⑫>