伊藤塾 米国弁護士になろう!

2018年6月15日 (金)

留学準備

この夏に留学予定の方は、留学先の学校が決定し、本格的に留学準備に取り掛かる頃だと思います。これから留学に向けた準備で忙しくなります。留学先が決まると、ビザの手続き、引越し手続き、航空券の手配、留学先での住居探し、携帯電話の契約、留学保険への加入、国民年金や国民健康、海外転出届や在留届の提出等の公的手続きなど、様々な手続きを進めていくことになります。以下では、留学に伴って行わなければならない主な手続きについて簡単にお話しします。

  • ビザの手続き

ビザの申請に必要な具体的な手続きの手順については学校からの指示の通りに進めていくことになりますが、簡単に概要を説明します。ビザの取得までは、①I-20の取得、②SEVIS費用の支払い、③大使館での面接、というプロセスを経ます。

①I-20

正式には、“Certificate of Eligibility”と呼ばれます。I-20は、アメリカ政府に認定されたアメリカの教育機関が発行する書類ですので、留学先の学校に発行してもらいます。当該学生がフルタイムで学校に入学すること及びアメリカに滞在するために必要な資金を有していることを証明したことを認証するものです。I-20を取得することによりビザの申請が可能となります。

②SEVIS

SEVISとは、Student and Exchange Visitor Information Systemの略で、米国国土安全保障省が留学生の情報を管理するインターネットベースのシステムです。留学生の情報のSEVISへの入力に関する手続きは学校側が行います。留学生自身は、SEVIS費用の支払いを、大使館での面接日の最低3営業日前までに済ませておく必要があります。

③大使館での面接

ビザの申請に必要な書類の準備、オンライン申請書の記入、申請料金やSEVIS費用の支払いをし、面接の予約を取ります。具体的な手続きについては、在日米国大使館・領事館のホームページで確認してください。

  • 引越しの手配

留学先への荷物の送付は、引越し業者の海外引越し用のサービスや日本郵便の国際小包あるいはEMSを利用する等の方法があります。引越し業者では、予算や用途に合わせた様々なパックプランも用意されています。ご自身の荷物の量や準備期間に合わせたサービスを見つけましょう。船便を利用する場合、現地に荷物が到着するまでに1ヶ月以上かかる場合がありますので、早めに各サービスを比較検討し、準備すると良いと思います。

  • 留学先での住居探し

留学先では、大学の学生寮に住む方もいれば、一般のアパートを契約して住む方もいます。通学の利便性、周辺の治安、家賃等の各種条件等を考慮しながら、自身のライフスタイルに合った住居を探さなくてはなりません。

学生寮には単身者用の学生寮のほか、家族向けの学生寮もあります。また、一人部屋、ルームメートとシェアして住む部屋など、学生寮にも様々な形態があります。学生寮に住むことを考えている方は、留学先の大学にどのような寮が用意されているか、また、各寮の申し込み開始時期などを早めに調べておきましょう。

一般のアパートを探す場合、渡米前にインターネットで調べて管理人と連絡を取る、学生や教員の住居について専門に扱う大学のオフィスに相談する、現地で情報誌で探す、などの方法があります。

  • 携帯電話の契約

渡米先で使用する携帯電話は、日本で使用している携帯電話をそのまま利用する方法、渡米してからアメリカの携帯電話会社で契約する方法、プリペイド式の携帯電話を利用する方法、渡米前に契約し、日本国内にいるうちに携帯電話を受け取る方法などがあります。

  • 留学保険の加入

留学中に病気やケガをした場合、高額な医療費がかかることになりますし、事故等で多額の賠償金を支払うことになるような場合に備えて留学保険に加入する方が多いです。医療保険に関しては、学校から加入を義務付けられる場合があります。

  • 海外転出届、在留届、国民年金、国民健康保険、住民税などの公的手続き

海外での滞在期間が1年を超える場合には住民票のある役所で海外転出届を提出する必要があります。また、海外での滞在期間が3ヶ月を超える場合には、滞在先の日本大使館あるいは総領事館に在留届を提出する必要があります。

海外転出届を提出すると、国民年金の加入義務がなくなります。その場合に任意加入制度の利用を希望するのであれば、その手続きをします。

海外転出届を提出すると、国民健康保険の支払い義務が免除されます。住民税についても課税対象から外れます。

他にも、渡米後に開設するアメリカの銀行口座への送金方法の確認等もしておくと良いと思います。留学が決まると、行わなければならない準備や手続きが本当に沢山あります。余裕を持って早めに準備を進めましょう。

2018年5月11日 (金)

Bar exam対策が始まる時期になりました

 5月も中旬になり、LL.M.も卒業式のシーズンになりました。LL.M.を修了された皆さん、おめでとうございます!異国での慣れない文化や環境の中、ロースクールでの大変な勉強を無事に終え、安堵感や達成感など色々な思いがあると思います。しかし、感慨に浸る間もなく、卒業と同時にBar exam対策に突入することになりますね。

 Bar exam対策は、BarbriやKaplan等、Bar exam対策を専門にする予備校を利用して行うのが一般的です。こうした予備校では、Bar exam対策初日から試験前日までの学習スケジュールが用意されています。そのスケジュールには、その日受講する講義、その後の復習として読む教材の箇所、解く問題等、非常に細かく作成されており、それに従って学習していけば良いようになっています。しかし、このスケジュールは非常に過酷で、英語を母国語とする学生でも学習ノルマを達成するのは容易なことではありません。Bar exam対策の講義の最初に、学習する上で何が一番大切かといったアドバイスがあります。それを参考にして、 優先順位をつけて課題をこなし、仮にその日の学習スケジュールに記載されていることが全て終わらなかったとしても、最低限こなすべき課題を自分なりに決めて取り組んでいくことが大切です。

 Bar exam対策は、ロースクールの学習とは異なります。30科目近い教科を短期間で学び、記憶し、短答や論文の問題を解いていくということを2ヶ月間続きます。短答の練習問題は早い段階からどんどん解いていくことが大切です。初めて解くときは、解いた問題の半分も正解できるかどうかというような状況になりますが、問題をこなすことで理解や記憶が進みます。また、英語で書かれた設問を早く読み、時間内に答えるという練習をするという意味でも、早い段階から多くの問題をこなすことは非常に重要です。一日に解く短答問題の数を決めて、毎日コツコツ取り組む受験生が多いです。論文問題についても、科目の内容や論証を覚えていない段階であっても、早くから取り組むことが大切です。英語を母国語としない日本人が限られた試験時間内に英語で法律的な文章を書くというのはとても大変なことです。ですから、重要な論証や法律的な言い回しなどは、ある程度記憶することが重要になってきます。

 短期間で大量の法律事項やその英語での表現を記憶し、さらにそれを元に短答及び論文問題を時間内に解き終えるようにしなければならないBar exam対策は過酷です。ときには少し気分転換もしながら体調管理に気をつけて頑張ってください。

2018年4月12日 (木)

2019 U.S. News Law School Ranking

U.S. News & World Report より、ロースクールランキングが発表されました。これはJ.D. プログラムについてのランキングですが、各ロースクールのレベルを知る手がかりとなります。どのロースクールのLL.M.プログラムに留学するか検討する上でも参考になります。ランキング上位20位は以下の通りです。

 

1. Yale University

2. Stanford University

3. Harvard University

4. University of Chicago

5. Columbia University

6. New York University

7. University of Pennsylvania

8. University of Michigan- Ann Arbor

9. University of California-Berkeley

9. University of Virginia(同順位)

11. Duke University

12. Northwestern University (Pritzker)(同順位)

13. Cornell University

14. Goergetown University

15. University of Texaas- Austin

16. University of California- Los Angeles

17. Vanderbilt University

18. Washington University in St. Louis

19. University of Southern California (Gould)

20. University of Minnesota

ランキング全体はこちらをご覧ください。

また、U.S. News & World Reportは、知的財産法、環境法、租税法等、いくつかの専門分野におけるロースクールランキングも発表しています。米国司法試験を受験するために履修が必要な基礎科目以外に、特定の分野の法律に特化して学びたいと考えている方は、それらのランキングも参考になると思います。

Clinical Training

Health Care Law

Legal Writing

Dispute Resolution

Intellectual Property Law

Tax Law

Environmental Law

International Law

Trail Advocacy

2018年2月16日 (金)

就職活動

 プログラムも後期に入り、米国内での就職活動をしている方もいらっしゃると思います。米国内のマーケットも厳しく、アメリカ人のJ.D. の学生にとっても就職活動は大変だと言われています。その中で外国人のLL.M. 生が就職先を見つけるのは簡単なことではありません。そこで、就職活動を行う際には、その方法についてしっかり情報収集をして戦略的に活動を進めていくことが大切です。

 

 ロースクールには、キャリアカウンセラーのような人達がいます。キャリアカウンセラーは、就職についての情報やノウハウを持っていて、学生の就職活動をサポートしています。就職活動のノウハウについてのセミナーをロースクール内で行ったり、個人でのカウンセリングをしてくれたりします。外国人のLL.M.生のための大規模な就職セミナーについての情報や就職活動の方法など、LL.M.生の就職活動に特化した情報もたくさん持っています。就職活動の際には、キャリアカウンセラーのアドバイスを受けることが非常に有効です。キャリアカウンセラーとアポイントメントを取って、例えば以下のようなことを相談してみると良いでしょう。

 

1. ビジネスエチケット

 就職活動にはビジネスエチケットがあります。ロースクール生の就職でも、例えば、networkingの際に知り合った弁護士に会って仕事についての話を聞いたり就職活動についてのアドバイスを受けたりする機会を得たとき、最初からjob position がないかといったことを聞いてはいけないとか、そのようなミーティングや就職の面接の後には24時間以内にお礼のメールをしないといけないというようなビジネスエチケットが多数あります。ビジネスエチケットのようなところでミスをすることなく就職活動を進めたいですね。

 

2. レジュメやメールの添削

 就職を希望する事務所や機関に提出するレジュメについては必ず添削してもらいましょう。また、就職を希望する事務所等に初めてコンタクトを取る際に送るメールなども、できれば添削してもらった方がいいようです。例えば、ビジネスエチケットとしての挨拶の有無やその書き方、また前置詞のちょっとした間違いなども印象を悪くしてしまう可能性があるためです。

 

3. 模擬面接

 キャリアカウンセラーに模擬面接をお願いしましょう。キャリアカウンセラーはLL.M.生が面接で聞かれるであろう質問を知っていますし、どのような点が面接で見られているかわかっています。 模擬面接で、「その程度の英語しかしゃべれない人を雇おうと思う事務所はない」などといった厳しい指摘をあえてするキャリアカウンセラーもいますが、そのような模擬面接を経て、最終的に就職を決めるLL.M. 生がたくさんいます。面接での話し方、内容、英語についてなども細かくアドバイスしてもらいましょう。

 

就職活動の専門家のアドバイスをきちんと受けて、抜かりなく就職活動を進めていきたいですね。

2018年1月31日 (水)

MPRE対策

今回は、MPRE対策についてお話ししたいと思います。倫理試験ということで、常識で解けそうな気がしますが、実際には、対策をしないと各州司法試験委員会の定める基準点を超えるのは難しい試験です。また、日本の法曹倫理と少し感覚が違うと話される弁護士の方もいらっしゃいますので、日本の法曹倫理をしっかり理解している方でもきちんと対策することが必要です。

 

多くの受験生が行っているMPRE対策は、①Bar Examの予備校が出しているMPREのOutlineを読む、②Bar Exam の予備校による無料のMPRE講義を受講する(オンラインでも受講可能)、③OutlineについているPractice Examやオンラインで提供されているPractice Examを解いてみるというものです。

 

①MPREのOutline

MPREのOutlineは、Barbri、KAPLAN、Themis等の予備校が出しているものを無料で入手することができます。時々各予備校の担当者がロースクールにブースを出すなどしていますので、米国内でロースクールに通っている場合には、ロースクール内でOutlineの冊子を入手することができます。また、各予備校のホームページでサインアップすることでダウンロードすることもできます。色々なOutlineが手に入ると思いますが、どれか一つ自分が使いやすそうなものを選んで使用するとよいでしょう。法曹倫理の規則の改正などもありますので、必ず最新版を入手するようにしましょう。

 

②MPRE講義

予備校によっては、無料の講義をオンラインで受講することができるようにしています。例えば、Barbriでは3−4時間くらいの講義をオンラインで聴くことができます。講義では、MPREに出題されやすい範囲や、どのようなひっかけ問題が出題されるかといったことに言及しながら進められるので、ただ漫然とOutlineを読むよりもポイントを掴んだ学習が可能になるでしょう。また、規則の改正部分もポイントアウトして説明されるので、最新の講義を聴くとよいでしょう。

 

③Practice Exam

MPREは四択の事例問題の形式で出題されます。Outlineを読んだり講義を聴いたりするだけではなく、実際に問題を解いてみて、どのように出題されるのかということやどの程度時間的に余裕があるのかといったことを確認しておく必要があります。Practice Examは、Outlineについているものや、オンラインで提供されているものなどで行うことができます。

 

 

オンラインで提供されているMPRE講義やOutline、Practice Examには以下のようなものがあります。

(1)Kaplan Free MPRE Online Review Course

(2)barbri Free PMRE review

(3)Themis Bar Review

(4)Supreme Bar Review Free MPRE Preparation

(5)Pieper Bar Review Free MPRE Course

(6)BarMax MPRE Review

また、有料ですが、MPREを実施しているNCBE (National Conference of Bar Examination) によるPractice Examもあります。近年実際に出題された問題を解くことができます。

NCBE が公開しているSample Test Questions はこちらをご覧ください。

2018年1月24日 (水)

MPRE

1. MPREとは

 MPRE (Multistate Professional Responsibility Examination)とは、NCBE (National Conference of Bar Examination)が実施している全米共通の法曹倫理試験です。この試験は司法試験 (Bar Exam)とは独立した別個の試験ですが、ほとんどの州で、弁護士登録の要件として、司法試験の合格とは別に、MPREで各州の司法試験委員会が定めた基準点を超えることが求められます。

 

2.  MPREの受験時期と基準点—ニューヨーク州とカリフォルニア州

 MPREは、Bar Exam受験前でも受けることができます。MPREで取得することが必要な基準点や、司法試験 (Bar Exam)との関係でいつその基準点を取得することが必要かという時期については、各州の司法試験委員会が定めています。

 

[ニューヨーク州]

基準点:85点

時期:Bar Exam 合格の前後3年以内

※ニューヨーク州司法試験委員会でのMPREに関するルールはこちらをご覧ください。

[カリフォルニア州]

基準点:86点

時期:Bar Examとの関係では制限はありません。

※カリフォルニア州司法試験委員会でのMPREに関するルールはこちらをご覧ください。

3.   MPREの形式

 2時間で60問の四択式試験です。設問は事例問題となっており、各事例問題に2分で解答することになります。実際に採点されるのは60問のうち50問ですが、どれが採点されない設問かはわからないため、全問解答しなければなりません。

 

4.   MPREの実施時期と受験料

 MPREは、8月、11月、3月の年3回行われます。早めに受験申し込みをする(Regular Registration)と受験料は95ドルですが、遅くなる(Late Registration)と190ドルになります。今年の3月の受験を考えられている方は、2月1日までに申し込むと95ドルで受験できます。

今年の試験日と申し込み期限は以下の通りです。

試験日 Regular Registration Late registration
3月24日 2月1日 2月8日
8月11日 6月21日 6月28日
11月10日 9月20日 9月27日

※必ず最新情報を確認するようにしてください。NCBEのMPRE受験申し込みに関する情報はこちらをご覧ください。

5.   試験会場の様子

  前述の通り、事例問題1題あたり2分で解かなければいけない試験で、英語を母国語としない学生にとっては時間との戦いという側面も持ちます。しかし、英語を母国語とする学生は問題を解くのが非常に早く、解答を終えると、試験終了前に提出して次々に会場から退出していきます。試験開始後40−50分頃から受験生が退出し始め、そこから最後までなんとなく落ち着かない雰囲気の中で試験を受けることになります。

 また、不正行為防止の対策も厳しくなされています。鞄を足元に置くことは禁止し、会場内の一箇所にまとめて置かせる対策がとられます。その他、会場によっては、首に巻くスカーフやショールを禁止したり、フード付きのパーカーやスエットを禁止したりするところもあります。フード付きの上着を着ている受験生がそれを脱ぐように言われ、空調の効いた会場で寒い思いをしながら試験を受けることになったということもあります。全ての会場でフード付きの服を禁止しているというわけではないようですが、寒さ対策の上着は、念のため、フードの付いていないものを用意しておくとよいかもしれません。

 

次回は、MPRE対策についてお話ししたいと思います。

2017年12月27日 (水)

まだ間に合う2018年度LL.M.出願

LL.M.の出願時期はロースクールによって様々です。2018年秋スタートのLL.M.コースについては、12月中に既に出願を締め切ったロースクールがある一方、2018年春まで出願を受け付けているロースクールもあります。

各ロースクールの出願時期はこちらのウェブサイトにまとめられています。

なお、米国ロースクールでは、ローリング・アドミションといって、願書が到着したものから順次審査を開始し合格者を決定していく方式が採られているため、早めに出願した方が有利です。2018年秋の留学を目指し、これから出願しようと考えている方は、できるだけ早く書類を揃え、出願手続きをとるとよいでしょう。

出願に関する最新情報は、各ロースクールのホームページで確認してください。

2017年11月28日 (火)

米国ロースクールの期末試験③:試験の受け方のコツ

今回は、期末試験の論文式試験の書き方のコツについてお話ししたいと思います。これは、あるJD卒業生によるアドバイスです。書き方は様々でしょうし、各自、各教授や学校から指導を受けるでしょうから、あくまでも一例として参考にしていただければと思います。

 

1. 1つの試験で複数の論文問題が出題された場合

 まず初めに全ての論文問題に目を通します。そのうち自分が最もできそうなものから手を付けます。

 

2. 問いに答える

 教授が聞いていることは何かということに最も注意を払うべきです。当たり前のことのようですが、問いに答えていない答案が頻繁に見られるそうです。問いに答えなければ点数にならないため、注意が必要です。

 

3. Analysis(事実認定、あてはめ)

  • Analysisが試験で最も大切で配点が高い部分です。
  • 事例問題(Fact pattern)の中に記載されている事実をできるだけたくさん拾って事実認定をするべきです。事実は理由があってそこに記載されているということを忘れないようにしましょう。
  • 事実を拾わなければ良い成績はつきません。
  • 事例問題は、2回は読むべきです。1回では読み落としが生じるためです。
  • 読みながらAnalysisに使う事実をハイライトし、各事実をどう使うのかメモしながら読んでいきましょう。
  • 複雑な事例の中で欠けている事実に気をつけることが必要です。もし何か欠けている(Analysisを完成させるために必要な事実が足りない)場合、場合分けして論じる必要が生じます。
  • 一文で使用する事実は1つか2つ程度です。一文の中で、事例の中の10個の事実をただ列挙したにすぎないというのでは、事実を使ってAnalysisしたことになりません。

 

4. 答案構成

  • 書き始める前に必ず答案構成をして、答案を整理することが必要です。
  • 1時間で解く問題であれば、5−10分くらいは答案構成に当てましょう。
  • 答案構成はあくまでも構成メモなので、完全な文にする必要はありません。
  • 重要な論点とそうでもない部分をきちんと見分けてメリハリを付けることが重要です。
  • パソコンでタイピングした答案をアップロードして提出する場合、ファイル上に残された答案構成にも、論点を拾い出すIssue spottingとして点数が振られます。そのため、答案構成メモは、答案そのものを作成するファイル上で 作成するとよいでしょう。
  • 各論点に関する記述はIRAC方式に従って構成し、書かなければなりません。

 

5. IRAC方式

IRACとは、Issue(問題提起)、 Rule(規範)、 Analysis(事実認定、あてはめ)、 Conclusion(結論)のことです。

  • Issueを書く際、なぜそれが問題になるのか(日本の論文試験で「問題の所在」と言われる部分)について書く必要はありません。例えば、過失の有無が問題となるという場合に、なぜ過失の有無が争点になるのかを論じる必要はなく、ただ表題にNegligenceと書いて、直後にRuleを書いてしまうということです。これは日本での答案の書き方と違うところです。
  • Ruleを書くときにも理由を書くことは要求されません。ここも日本の答案の書き方と違うところです。
  • Ruleは簡潔に書きます。いくつか要素がある場合には、番号をふるなどして列挙し、読みやすくします。

 

6. 形式

  • 一段落につき4−6文でまとめるとよいです。一段落を長くしすぎないようにします。
  • 段落と段落の間にはスペースを空けて見やすくします。
  • Headnoteを付けられるところには付けて、そこで何について書いているか分かりやすくするとよいでしょう。

 

7. その他

  • 断定的な書き方をしないようにします。例えば、 “Obviously” あるいは “Of course” などと書いた場合には、Analysisをしていないということです。
  • 時間配分に気を配り、最後まで書き上げましょう。
  • 複数の論文問題がある場合、全ての問題の答案構成を終わらせてから文章にする作業をする方が得点につながります。これは、前述の通り、答案を作成するファイルに答案構成を残せていればIssue spottingなどとして、答案構成自体に点数がつくためです。例えば3題の論文問題が出題されている場合に、1問目と2問目は完全に文章で解答したが3問目は白紙の状態というより、文章で完全に解答できたのは1問目だけだが、2問目、3問目まで答案構成でIssue spotting ができていることを示せている方が、総合点が高くなる可能性が高いからです。もっとも、各論文問題の配点が示されていて、比重が違う場合にはそれに応じて対応する必要があります。

2017年11月24日 (金)

米国ロースクールの期末試験②:試験の準備

今回は、米国ロースクールで学生たちが行っている、期末試験の準備の様子等についてお話ししたいと思います。試験の準備方法は各自の学習スタイルにより様々ですが、一例として参考になればと思います。

 

1. 授業ノート

 ロースクールの試験で良い成績を修めるためには、教授が授業中に話している内容をしっかり理解することが非常に重要です。あるJDの学生は、「教授の言ったことが全て」と言っていたほどです。そこで、授業中に教授の話したことを一語一句書き留めたノートがとれればベストです。あとで読み返してみると、教授の授業の構成が、ある視点に沿って整理されていることに気付けたり、教授の重視している点をクリアにしたりすることに役立つからです。しかし、英語が第一言語でない留学生にとって、それは非常に困難なことです。もしも可能であれば、英語を第一言語とするJDの学生などのノートを入手してみましょう。非常に参考になると思います。もっとも、授業の内容を一語一句書き留めたノートは、その量も膨大ですから、何度も読み返す時間はないでしょうし、試験直前に効率的に学習内容を見直すには不向きでしょう。そこで、Outlineの作成などが有効となります。

 

2. Outline

 Outlineは、各科目の学習内容を体系的にまとめたものです。試験直前になると、過去に誰かが作成したOutlineが学生間でやり取りされたりします。Outlineはもちろんはじめから自分で作成するのも良いですが、過去に同じ教授の同じ授業を受けた学生が作成したOutlineが手に入る場合には、それに手を加えて改良すると効率的です。同じ科目について複数のOutlineが手に入ることもあるでしょうが、それらを比較して、使用するOutlineを一つ選びましょう。一旦使用するOutlineを選んだら、それを徹底して使うことが大切です。複数のOutlineを使用するのは読む時間を増やすだけで効率を損ねることになるからです。

 実際に学生が作成したOutlineを見ると、45ページから50ページに渡るOutlineが多いようです。中には、10ページから15ページ程度の簡潔なOutlineを作成する学生もいます。このような簡潔なOutlineは、直前に科目全体をパッと見渡すのに効果的なツールです。どの程度詳細なOutlineを作成するかは各自の学習スタイルに合わせればよいでしょう。

 

3. Study group

 Study groupを作って友人と一緒に学習する時間を取る学生もいます。Study groupのスタイルは様々です。学期始め頃から5−6人のStudy groupを作って交代で担当部分のOutlineを作成し、それを共有しながら学習するようなスタイルもありますし、2人だけで、互いに授業内容を全て網羅できているか試験直前にまとめて確認するようなスタイルもあります。

 

4. 過去問

 やはり過去問が重要なのは言うまでもありません。同じ教授の過去問を手に入れて実際に書いてみましょう。学校が公式に提供している場合もありますし、なければ教授に過去問の配布を要請してみましょう。

 

5. Review session

 学校によっては、試験前一週間ほどは、通常授業のないReading periodを設けます。通常の授業はありませんが、各教授がReview sessionを開きます。 Review session では、教授が学期中の授業内容を体系立ててまとめてくれたり、Sample examや過去問の検討会が行われたり、あるいは教授がひたすら学生からの質問受けをしたりします。Review sessionを有効に活用するとよいでしょう。

2017年11月21日 (火)

米国ロースクールの期末試験①:試験の種類と試験中の様子

多くのロースクールの前期の期末試験は12月上旬から始まります。そのため、11月の今頃の時期になると、Exam periodなどといって、学生たちは本格的に期末試験の準備をします。そこで、このブログでは3回に渡り、米国ロースクールの期末試験について、その種類、試験の準備、受け方のコツ、試験中の様子などについてお話ししたいと思います。

 

試験の種類には、大きく分けて、In-class examとTake-home examがあります。そして、In-class examにもOpen-book examとClosed-book examがあります。

 

1. In-class exam

 多くのIn-class examは3−4時間に及ぶものが多いようです。学校によって試験に関する規則や雰囲気など異なると思いますが、試験時間が長いため、試験中にロースクール内のカフェにコーヒーを買いに出ることができたり、お菓子をつまみながら受けることを許可されていたりする場合もあります。また、朝早く始まる試験の場合には、試験前にベーグルなどの軽い朝食を提供する学校もあります。

 

 答案は、学生の判断で手書きでもタイピングでもよいとされている場合が多いですが、学生の多くは各自のラップトップを持ち込み、タイピングした答案を試験終了時にその場でアップロードして提出します。各自のラップトップ上で答案を作成する場合には、学校によっては、決められたソフトやファイル以外のものを開けないようにするソフトをダウンロードさせるようです。

 問題文が長く、問題数も多い論文問題の場合、英語を母国語としないLL.M.生にとっては、時間との戦いという側面も強くなります。 仮に時間切れになり、全ての問いに対して文章で答案を完成させることができなくなってしまった場合でも、答案構成メモがタイピングされていることで、論点を拾い出すIssue Spottingとしてその答案構成部分に点数がつくことがあります。そのため、答案をタイピングして作成する場合には、全ての問いについてまず一通り答案構成自体をタイピングして仕上げてしまうことにより、Issue spottingの点の取りこぼしを減らすことができるというメリットがあります。

 

(1)Closed-book exam

 教室で、決められた時間内に、何も参照せずに解答する試験です。

(2)Open-book exam

 教室で決められた時間内に解答する試験ですが、参照する資料を持ち込むことができる試験です。どんな資料の持ち込みが許可されるかは教授により異なります。自分で作成したOutlineなど、市販の参考書以外のもので、ハードコピーのもののみ持ち込み可とする教授もいれば、市販の参考書やパソコン内のデータの他、インターネットでの検索も可とする教授もいます。

 ただ、Open-book examといっても、実際には持ち込んだ資料をじっくり参照している時間はほとんどないのが現実です。ですので、Open-book examは、いざという時に参照する資料を横に置いておける試験というだけで、実際にはClosed-book examと同様の準備をしておくことが必要な試験だと考えておくとよいでしょう。

 

2. Take-home exam

 試験期間中であれば、いつ、どこで受けても良く、各学生が他の科目の試験のスケジュールとの兼ね合いで受験する日時を決めます。Take-home examには、In-class examとほとんど試験時間が変わらない4時間程度のものから、8時間あるいは24時間と長時間のものまで様々です。試験問題をダウンロードした瞬間から時間のカウントが始まり、時間内に答案をアップロードして提出します。参考書やノートなど様々な資料にアクセスし時間をかけて解答できる分、完成度の高い答案が求められると考えておく必要があります。