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2020年4月21日 (火)

本試験の意地の悪さ

皆さま、こんにちは。伊藤塾クラスマネージャーの黒澤と申します。

今回は、本試験の問題の意地の悪さというテーマです。お付き合いください。

本試験では、形式面で間違えやミスを誘発させるために基礎知識に関して意地の悪い出題がされる場合があります。聞かれていることは基礎中の基礎なのですが明確に基礎知識を意識していないで何となく正しいといった風な判断をすると自動的に間違えるような問題です。

以下の問題をまず解いてみてください。

第2問 処分権主義に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

【パターン1】

ア 裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定し,これに基づいて判決をすることは,民事訴訟法第246条に違反する。

(参考)民事訴訟法第246条 裁判所は,当事者が申し立てていない事項について,判決をすることができない。

上記は、記憶に新しい平成31年(令和元年)度の本試験午後第2問目の民事訴訟法の一部抜粋です。この問題ですが、「裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定」したらそりゃダメだよなぁと思って、アの選択肢をなんとなく○とした方いらっしゃるのではないでしょうか?

この問題ですが、「×」が正解です。なぜなら、246条は処分権主義の条文ですが、「裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定し,これに基づいて判決をすること」が許されるか否かということは、処分権主義の問題ではなく、類似概念の弁論主義の問題だからです。つまり、処分権主義に反するわけではないから×ということです。

では、この問題が以下のような表現であれば間違えるでしょうか?

【パターン2】

ア 裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定し,これに基づいて判決をすることは,処分権主義に反する。

これでも処分権主義と弁論主義を明確に区別していない方は間違える方はいるかもしれませんが、本試験のようにサラッとリード文に処分権主義に関すると書いて選択肢自体は「わざと条文表記にして」処分権主義の意味を意識させないという出し方ではありません。以下の表現ならもっと間違える方は減るかと思われます。

【パターン3】

ア 裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定し,これに基づいて判決をすることは,弁論主義に反する。

この表現であれば反射的に皆さん○と判断できると思います。なぜなら、書いてあることを受動的に判断すればいいだけだからです。

【まとめ】

パターン1を解くには、まず、①246条が処分権主義の表れの条文だということを明確に意識する必要があります。次に、②「裁判所が当事者の主張しない主要事実を認定し,これに基づいて判決をすること」という表現に立ち戻ってみて「あれ!?」と違和感を感じるくらいには弁論主義のテーゼを思い出せないといけません。つまり、裁判所は当事者の主張していない事実を判決の基礎としてはならないという弁論主義の第1テーゼです。最後に、③裁判所は当事者の主張していない「事実」を判決の基礎としてはならないという弁論主義の第1テーゼの「事実」は主要事実のことだという知識を思い出す必要があります。

以上から、アの選択肢が誤った選択肢であるという判断ができるわけです。特に、②を現場で反応でき知識を現場で引き出せる程度にしておかなくてはいけません。

こういう意地の悪い聞き方の問題でなんとなく感覚で解いてそれを試験委員にそれを見破られて間違えずにしっかりと知識を引き出せて正誤判断ができる能力が「基礎力」というものです。

ただ、本音を言わせていただくと、このような選択肢を受験生が最初に見るであろうアに置いて(絶対故意だと思います)いわゆる「初見殺し」をしてくるのは、性格悪すぎですけどね(笑)。

受験生の皆さま、試験委員の方々は策士ですので気をつけてください。