司法書士実務の現場で“いま起きていること”“これから起こること”②
こんにちは。
伊藤塾の坂本龍治です。
今回は、司法書士実務の現場で
“いま起きていること”、“これから起こること”
について、前回の続きをお話します。
これから起こること
IMFの経済見通しに世界中が大きなショックを受けたことは記憶に新しいですが、政府が想定している経済対策だけでは経済的な落ち込みを食い止めることは厳しそうです。経済的な悪化に伴い、様々な法的問題が生じます。
また、現在生じている「人が動かない」「物が動かない」「お金が動かない」状況が、様々な契約上の義務の不履行を引き起こすため、こうした面からも多くの法的問題が生じます。
現在は、いうまでも医療従事者の方々が命がけで戦ってくださっていますが、今後は法律家がこれに続く必要があります。
企業間の紛争や破産といった、金額の大きな話は弁護士の先生方にご活躍頂くことになりますが、簡裁訴訟代理権を前提に140万円以内の個人間の紛争は、司法書士も法的支援の役割を担う必要があります。どこでも起こりうる身近な話としては、建物明渡請求です。
企業収益が激減したことで会社からの給料が支払われず、家賃を数か月間滞納してしまった…といったことが、あちこちで起こります。大家としては、賃料未払いを理由に契約の解除をするわけですが、このような状況にあって悪意を持って賃料を支払わない人がどれほどいるでしょう。「信頼関係不破壊の法理」によって、ケースによっては契約の解除が認められないこともあるでしょう。しかし、賃料収入が入らない大家が、アパートローンの返済が出来なくなって立ち行かなくなる…といったことも考えらえるわけで、非常に難しい判断を迫られます。
その他、地域によっては個人の破産や再生を司法書士が支援しているところもあり、こうした分野での役割も期待されます。「破産」という言葉に良いイメージが湧かないかも知れませんが、人生の新たな一歩を踏み出すための法的支援であり、前向きな仕事なのではないかと思います。
終わりに
未曾有の災害となった東日本大震災から9年。
日本人は、困難な局面においても着実に前進する力を持っていることを証明しています。
そして、そこには法律家による並走があり、いまも続けられています。
司法書士にも、原発ADR手続などを通じて原発事故賠償の未請求者を支援する、
といった活動を今現在も行っている先生方がいます。
これから起こる事象に対して、司法書士がどれだけ力添えできるかは未知数ですが、
いま想定される事象に対する備え(勉強)をはじめ、
そして、いざ始まれば長いスパンでの並走を実現することが重要なのではないかと思います。
壊れてしまった平穏を、法律の力で修復する。
狂い始めた平穏を、法律の力で立て直す。
そのためには、今いる司法書士の力だけでは足りないのではないかと思います。
「新しい仲間」、皆さんの力が必要です。
合格の先でたくさんの人が待っています!
苦しいけれど、最後まで頑張っていきましょう!!