学校選び①—履修期間によるLL.M.の種類
留学先の学校選びが重要なことは言うまでもありません。学校選びのポイントは、ロースクールランキング、履修期間や履修形態、特定の分野の法律に特化したプログラムの有無、どこに住みたいかという地理的な要素など様々です。
ロースクールランキングは、LL.M.自体のランキングではありませんが、学校自体のレベルなどを知る手がかりになります。ある特定の分野の法律を特に重点的に学習したい場合は、そういったプログラムのある学校や当該分野に強い学校を探すとよいでしょう。ざっくりと東海岸に住みたいとか西海岸に住みたいとかということから学校を絞る方もいます。
前回の「LL.M.出願から米国司法試験受験までの流れ」の記事では、夏から行われる一般的な9ヶ月間のコースに留学する場合を例にスケジュールを見てみました。ですが、9ヶ月間のコース以外にも、異なる履修期間や履修形態でLL.M.が取得できるコースがあります。仕事や家庭の事情で9ヶ月間留学することが難しいという方は、例えば夏の間だけ渡米することで受講できるプログラムやオンラインで受講可能なプログラムを設けている学校でLL.M.を取得するという選択肢もあります。そこで、今回は、履修期間や履修形態によるLL.M.の種類をまとめてみます。
<General LL.M./ Year LL.M.>
約9ヶ月間米国に滞在し、通学する形態で行われる一般的なLL.M.プログラムです。
<Part-time LL.M./ On-line program/ Distance learning>
必ずしもGeneral LL.M.のように9ヶ月間継続して米国に滞在し通学するという形態を取らなくてもよいのが特徴です。例えば夏の2ヶ月間という限られた期間のみ米国に滞在し通学するということを2−3年に渡って行い,LL.M.を取得することのできるプログラムがあります。また、継続して米国に滞在することなく、主にオンラインでの講義の受講、課題提出及び試験の受験が可能で、学校の定めた期間内(学校により2年から5年程度)に全て履修すればLL.M.が取得できるプログラムもあります。
このようなプログラムは、キャリアを中断することなく、各自のペースで学習し、LL.M.を取得することができるというメリットがあります。一方、州によっては米国司法試験の受験資格を満たさない場合がありますので、最終的に米国司法試験の受験を視野に入れていている場合は注意が必要です。
こうしたプログラムを設けているロースクールは例えば以下のような学校です。
- New York University- Executive LLM in Tax
- Boston University-Executive LLM in International Business Law
- University of California, Berkeley- LL.M. Professional Track
- University of California, Davis- Summer International Commercial Law LL.M.
<Short Program LL.M.>
9ヶ月という期間をかけず、より短い期間でLL.M.を修了することができるプログラムです。このようなプログラムも、仕事や家庭の事情などにより長期間米国に滞在して学習することが難しい学生にとって大きなメリットがあります。ただし、Part-time LL.M.と同様、州によって米国司法試験の受験資格を満たさない場合がありますので注意が必要です。
こうしたプログラムを設けているロースクールは例えば以下のような学校です。
< その他>
LL.M.を短期間で修了するプログラムもある一方で、General LL.M.よりも長い期間をかけ、まずはLL.M.での学習に必要な英語力を高め、米国法の基礎を固めた上で本格的なLL.M.の学習に入るプログラムもあります。
こうしたプログラムを設けているロースクールは例えば以下のような学校です。
- University of Miami- International Law LL.M. with Intensive English