MPRE (Multistate Professional Responsibility Examination)とは、NCBE (National Conference of Bar Examination)が実施している全米共通の法曹倫理試験です。この試験は司法試験 (Bar Exam)とは独立した別個の試験ですが、ほとんどの州では弁護士登録の要件として、司法試験の合格とは別に、MPREで各州の司法試験委員会が定めた基準点を超えることが必要とされています。
2. MPREの受験時期と基準点—ニューヨーク州とカリフォルニア州
MPREは、Bar Exam受験以前でも受験可能です。MPREで取得することが必要な基準点や、司法試験 (Bar Exam)との関係でいつその基準点を取得することが必要かという時期については、各州の司法試験委員会が定めています。
[ニューヨーク州]
基準点:85点
時期:合格したBar Examの前後3年以内
[カリフォルニア州]
基準点:86点
時期:Bar Examとの関係では制限はありません。
2時間で60問の四択式試験です。設問は事例問題となっており、各事例問題につき2分で解答することになります。
MPREは、8月、11月、3月の年3回行われます。早めに受験申し込みをする(Regular Registration)と受験料は80ドルですが、遅くなる(Late Registration)と160ドルになります。今年の11月の受験を考えられている方は、9月17日までに申し込むと80ドルで受験できます。今年の11月から来年の8月までのMPREの実施予定と申込期限は以下の通りです。※必ず最新情報を確認するようにしてください。
試験日
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Regular Registration
80ドル
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Late Registration
160ドル
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2015年11月7日
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2015年9月17日
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2015年9月24日
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2016年3月19日
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2016年1月28日
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2016年2月4日
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2016年8月13日
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2016年6月23日
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2016年6月30日
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9月から10月にかけては、新しい環境での生活や学校の勉強に慣れるのに必死な時期で、MPRE対策をする余裕はないであろうということで、ロースクールによっては3月の受験を推奨しています。しかし、受験回数に制限があるわけでもありませんので、仮に充分な対策ができなかったとしても、実際の試験の出題傾向や会場の雰囲気を知ることができるため、11月に受験する学生も多いです。
前述の通り、事例問題1題あたり2分で解かなければいけない試験で、英語を母国語としない学生にとっては時間との戦いという面も持ちます。しかし、英語を母国語とする学生は問題を解くのが非常に早く、解答を終えると、試験終了前に提出して次々に会場から退出していきます。試験開始40−50分頃から受験生が退出し始め、そこから最後までなんとなく落ち着かない雰囲気の中で試験を受けることになります。
また、不正行為防止の対策も厳しくなされています。カバンを足元に置くことは禁止し、会場内の一箇所にまとめて置かせる対策がとられます。その他、会場によっては、首に巻くスカーフやショールを禁止したり、フード付きのパーカーやスエットを禁止したりするところもあります。フード付きの上着を着ている受験生がそれを脱ぐように言われ、空調の効いた会場で寒い思いをしながら試験を受けることになったということもあります。全ての会場でフード付きの服を禁止しているというわけではないようですが、寒さ対策の上着は、念のため、フードの付いていないものを用意しておくとよいかもしれません。
次回は、MPRE対策についてお話ししたいと思います。
[参考URL]
NCBE
NY州司法試験委員会
CA州司法試験委員会